演題

HER2陽性乳癌の補助化学療法における最適なアンスラサイクリン投与の検討

[演者] 綿貫 瑠璃奈:1
[共同演者] 林田 哲:1, 菊池 雅之:1, 中小路 絢子:1, 前田 日菜子:1, 横江 隆道:1, 豊田 知香:1, 関 朋子:1, 高橋 麻衣子:1, 北川 雄光:1
1:慶應義塾大学一般・消化器外科

【背景】本邦ではHER2陽性乳癌に対する補助化学療法はアンスラサイクリン系とタキサン系薬剤にトラスズマブを加えたレジメンが標準治療と考えられている。しかし、NCCNのガイドラインでは、“low-risk stage I”のHER2陽性乳癌患者において、アンスラサイクリンの省略を考慮すべきであるとされている。我々はアンスラサイクリンの省略が妥当であるHER2陽性乳癌を明らかにするため自験例の検討を行った。【対象・方法】2010年1月から2012年12月に、HER2陽性乳癌に対して術前・術後補助化学療法を行った原発性乳癌患者157例を対象とし、アンスラサイクリン投与群(投与群)と非投与群に分けて比較検討を行った。【結果】対象とした157例のうち、投与群が86例、非投与群が71例であった。このうちcT1症例は51例であり、5年の無病生存期間(DFS)は投与群・非投与群ともに93.8%であった。cT1N1症例はそれぞれ2例ずつであり、非投与群の1例に再発を認めた。cT2N0症例は投与群が29例、非投与群が31例であり、それぞれ5年のDFSは89.4%, 89.3%で有意差は認めなかった。cT2N1症例は投与群が16例、非投与群が8例であり、1例ずつに再発を認めた。術前化学療法を施行し、病理学的完全奏功(pCR)を得た症例は28例で、投与群が5例、非投与群が23例であった。そのうち、非投与群の1例(3.57%)のみで再発を認めた。【考察】今回の結果よりHER2陽性乳癌の術前・術後補助化学療法において、cT1症例に加え、cT2N0症例ではアンスラサイクリンの省略が可能であると示唆された。既存の報告でも腫瘍径3cmまでのリンパ節転移のないHER2陽性乳癌を対象に補助化学療法としてパクリタキセルおよびトラスズマブを投与した場合の3年のDFSは98.7%と良好な成績が示されている(NEJM2015)。 一方でcT2N1症例については症例数を追加し更なる検討が必要と考えられた。pCR症例では病期に関わらずアンスラサイクリンの省略が妥当である可能性が示唆された。
詳細検索