演題

Acute Care Surgeonをどう育成するか?~ACS教育体制整備の提言~

[演者] 下条 芳秀:1
[共同演者] 比良 英司:1, 木谷 昭彦:1, 岡 和幸:1, 室野井 智博:1, 蔵本 俊輔:1, 渡部 広明:1
1:島根大学医学部Acute Care Surgery講座

【背景】日本Acute Care Surgery(以下、ACS)学会は「集中治療を必要とする重症外傷外科と救急外科」を“ACSの専門領域”、集中治療を必要としない救急外科領域を“ACSの診療領域”と規定している。Acute Care(以下、AC) Surgeonを育成する施設には、外傷症例の集約化、外傷診療体制の確立、十分な医療資源の確保が必須である。【目的】本邦におけるACSの体制をもとに理想とすべきAC surgeon育成の形を検討した。【結果】本邦には(A)一般外科医がACSを実践する施設、(B)救急医がACSを実践する施設、(C)外科・救急から独立したAC SurgeonがACSを実践する施設の3つのACSの形がある。(A)は“ACSの診療領域”のスキル研修は十分であるが、一方で“ACSの専門領域”の意思決定研修は十分でなく、救急における研修を必要とする。(B)は“ACSの専門領域”の意思決定研修は十分であるが、外科手技習得のため一般外科での研修が必要となる。(C)は“ACSの専門領域”と“ACSの診療領域”の両者をカバーしており、ACS診療を網羅的に研修できるため外科的スキルと救急の両面を同時に教育できる。当施設は(C)に合致する施設であり、その治療実績を検討すると、センター設立後15ヵ月間に当科が入院担当した外傷症例は269例であった。AIS≧3が65.5%、ISS≧16は46.7%であり意志決定研修には十分な施設と考えられた。外傷手術は52例、その内damage control surgeryは12例で一定数の外傷手術修練が可能と考えられた。治療成績は予測外死亡例0例、予測外生存例は11例、TRISS法による予測生存率88.5%に対して実生存率は97.1%と良好な結果であった。また救急外科領域手術症例は85例であり、修練者に必要な症例の確保は行われていた。【まとめ】AC Surgeonを育成するには外科と救急から独立し、かつACSを専門的視点から教育する体制としてACS講座の設置が重要である。
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