演題

SF-078-8

病的肥満症に対する腹腔鏡下スリーブ状胃切除術の精神的影響の評価

[演者] 馬場 誠朗:1
[共同演者] 佐々木 章:1, 大塚 幸喜:1, 新田 浩幸:1, 三條 克巳:2, 木村 聡元:1, 髙原 武志:1, 秋山 有史:1, 岩谷 岳:1, 肥田 圭介:1, 水野 大:1, 大塚 耕太郎:2
1:岩手医科大学外科, 2:岩手医科大学神経精神科

【目的】高度肥満症に対する肥満外科手術後では,精神的な安定が得られQOLが向上してくることが多いと言われる反面,術後2~3年でのうつ病再発や自殺者の出現についての報告もみうけられる.本邦では,腹腔鏡下スリーブ状胃切除術(LSG)が保険適応となり,手術件数が増加傾向にある.今回,当科で施行したLSGの精神的影響について検討したので報告する.
【方法】2008年6月より2017年8月までに病的肥満症 72名に対してLSGを施行した.2016年1月からは,LSG希望患者全例に対して精神的評価として初診時の精神科医による面接とうつ性自己評価尺度(Self-rating Depression Scale:SDS)及びうつ病重症度評価であるMADRS(Montgomery-Åsberg Depression Rating Scale)を施行している.LSGを施行した11名を対象とし,手術後1か月と6か月に精神科医による面接とMADRSを行い評価した.
【結果】初診時(24例)の評価(平均値)では,双極性障害のため介入が困難であった1例を除いた23例のSDSは41.3点であり正常域から神経症域が認められた.双極性障害1例と統合失調症1例を除いた22例のMADRSは5.1点で正常域であったが,1例で中等度のうつ症状を呈していた.LSG施行群(11例)の術前/未施行群(13例)のSDS(39.1/43.4,p=0.295)とMADRS(3.5/6.7,p=0.343)では差を認めなかった.LSG施行群(11例)の初診時の患者背景(平均値)は,年齢41.9歳,体重 110.6 kg,BMI 41.7kg/m2,MADRS 3.5点,精神科治療歴はうつ病内服治療中1例,うつ病の既往が1例であった.減量成績(術後1か月/6か月)はBMI 34.8/33.1 kg/m2,超過体重減少率は36.1/48.4 %と良好な減量効果が得られ,MADRS は1.3(p=0.005)/0.6(p=0.005)低下を認め,術前うつ病薬を内服していた1例は,術後1か月で内服が不要となった.
【結語】LSG術後では精神面における短期成績は良好であった.今後は,精神的影響の評価とサポートを永続的に行ない,長期的影響について検討していく必要があると考えられる.
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