演題

SF-039-8

Damage control surgeryにはシステム構築が重要である~Damage control surgeryを成功させるための体制~

[演者] 渡部 広明:1
[共同演者] 下条 芳秀:1, 比良 英司:1, 藏本 俊輔:1, 大岩 祐介:1, 室野井 智博:1, 岡 和幸:1, 木谷 昭彦:1
1:島根大学Acute Care Surgery

Damage control surgery(DCS)は生理学的状態が致死的に破綻した患者に対して行う救命への治療戦略である。しかし一般外科の視点からは非日常的な手技を包括し、外科医のスキルのみではこれを達成することができないため環境整備が極めて重要である。今回、当高度外傷センターで整えているDCSのための院内体制について紹介し、システム構築の重要性について考察する。当センターは、2016年4月に設立され、2次医療圏に限定せず重症外傷患者を全県から受け入れる体制とし、ドクターヘリと防災ヘリにより遠隔地からの重症外傷受け入れ体制を整備した。救急隊からの外傷受入要請の段階で、primary surveyにおけるA(気道)B(呼吸)C(循環)D(中枢神経)のいずれかに異常を認める症例においては、患者病着までに必要スタッフを招集するためのトラウマ・コードを院内体制として整備した。招集されるスタッフは、Acute Care Surgeon、看護師、放射線技師、臨床工学技士、集中治療医とし、手術部、ICU、救命病棟、HCUの各部署にもメールにて周知される。これにより、患者到着までに手術を含めたあらゆる準備が行われる。またO型RBCおよびAB型FFPをそれぞれ6単位ずつ外傷センター内に常置したmassive transfusion protocolを構築した。初療室内では患者到着と同時に蘇生的手術が直ちに開始できる体制とした。こうした体制を整備した2016年4月からの1年間でDCSは12例26手術が実施され、TRISS法に基づく予測生存率37.9%に対して実生存率は58.3%であった。全外傷症例1870例のうちpreventable trauma deathは0例、unexpected survivorが10例であった。体制整備により迅速な手術開始が可能となり、従来の体制では救命することができなかった重症外傷症例が救命されるようになってきた。DCSを実施すべき施設は外科医のスキルのみではなく、これを実施できる体制の整備をすべきであり、これがDCS成功への一因である。
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