演題

ESV11-2-6

横行結腸癌に対する腹腔鏡下D3リンパ節郭清 -安全で再現性の高い定型化-

[演者] 松村 直樹:1
[共同演者] 徳村 弘実:1, 西條 文人:1, 成島 陽一:1, 野村 良平:1, 武藤 満完:1, 安本 明浩:1, 澤田 健太郎:1, 安山 陽信:1, 千年 大勝:1
1:東北労災病院 外科

【はじめに】横行結腸癌に対する腹腔鏡手術はD3リンパ節郭清と周囲臓器からの間膜の切離からなる.しかし横行結腸間膜を取り巻く解剖が複雑なので定型化が難しい.真の定型化には安全で肥満,癒着,解剖学的破格があっても対応でき再現性がある必要がある.当科での定型化された腹腔鏡下横行結腸癌手術の手術手技と成績を報告する.【アプローチからみた解剖の問題点】内側アプローチの利点は脈管に到達しやすいことだが,左側では膵や網嚢内の癒着が見えないので間膜の正確な切離線やリンパ節郭清の上縁を決めることは難しい.外側(頭側)アプローチの利点は膵下縁で間膜を適切に切離できることだが,右側では脈管を含む横行結腸間膜前葉は膵前筋膜や大網にfusionし,肥満や大網の不規則な癒着のある症例では副右結腸静脈(ARCV)の同定と切離に難渋することがある.つまり,左側は外側アプローチ先行で間膜の膵下縁からの切離を行い,右側は内側アプローチ先行で脈管の切離とリンパ節郭清を行うのが最も良い.【横行結腸癌の手術手技】1)左側:外側アプローチとして左側の網嚢を解放し膵下縁で網嚢後壁と間膜前葉を切離し菲薄化しガーゼを置く.間膜を頭側に展開すると尾側からガーゼが透見でき,これを指標に内側アプローチとして間膜後葉を切離しwindowを作成する.以上で左側の横行結腸間膜は正確に膵下縁から切離される.2)右側:(右半結腸切除では先に回盲部の授動と回結腸動静脈の切離を行う)間膜を十二指腸と膵前面から剥離する.SMV末梢で郭清を開始し尾側から胃結腸静脈管(GTH)とARCVの分岐に達する.ARCVを切離する際は周囲の切離を最小限にして支持構造を残し引き抜き損傷を防ぐ.中結腸動静脈領域の郭清の上縁は右側はGTH,左側は間膜のwindowから膵下縁で認識できる.これにより膵損傷なくD3リンパ節郭清が完遂可能となる.間膜を尾側へ展開し右側の胃結腸間膜と間膜前葉のlayerを切離する.すでに脈管は全て切離できているので,単純に膵から安全に間膜の切離が完了する.【結果】定型化した2012年3月以降,55例の横行結腸癌に対して腹腔鏡下にD3リンパ節郭清の手術を施行した.手術時間は263分,出血量33ml,開腹移行0例,縫合不全を含むClavien-Dindo分類III以上の重篤な合併症はない.【まとめ】左側外側アプローチ先行,右側内側アプローチ先行によるD3リンパ節郭清と間膜の切離は安全で再現性が高い手技である.
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