演題

上腸間膜動脈閉塞症に対するICG蛍光法の適応と限界

[演者] 吉田 有佑:1
[共同演者] 信久 徹治:1, 半澤 俊哉:1, 福本 侑麻:1, 藤本 卓也:1, 西江 尚貴:1, 畑 七々子:1, 森川 達也:1, 甲斐 恭平:1, 佐藤 四三:1
1:姫路赤十字病院 外科

【はじめに】上腸間膜動脈(SMA)閉塞症は迅速かつ適切な治療が必要な致死的な疾患で,致死率は60~80%に達すると報告されている.当院では腸管の血流評価に術中ICG蛍光法を積極的に導入している.今回,術中ICG蛍光法を利用したSMA閉塞症の3症例を経験したので報告する.【症例1】76歳,男性.当院循環器内科に心不全で入院中に腹痛を発症し,SMA塞栓症と診断され緊急手術となった.CT所見ではSMA本幹は開通しており,空腸への分枝で閉塞していた.発症から手術開始まで5時間であった.術中ICG蛍光法で血流評価しTreitz靭帯より30cm~180cmの小腸を切除し,術後抗凝固療法を開始した.経過は良好であった.【症例2】79歳,男性.他院でSMA血栓症と診断され,当院紹介となり緊急手術となった.CT所見でSMA本幹が閉塞していた.発症から手術までに2日以上経過していた.術中ICG蛍光法で血流評価しTreitz靭帯より60cm~220cmの小腸を切除し,術後早期に抗凝固療法を開始した.経過は不良で,術後9日目に再手術を実施した.手術所見では小腸が広範囲に壊死していた.【症例3】77歳,男性.腹痛を主訴に当院受診し,SMA閉塞症と診断され緊急手術となった.CT所見でSMA本幹が閉塞していた.発症から手術開始まで36時間であった.術中ICG蛍光法で血流評価しTreitz靭帯より30cmの空腸~横行結腸までの広範切除を行い,術後抗凝固療法を開始した.経過は良好であった.【考察】術中ICG蛍光法はリアルタイムに簡単に施行でき,肉眼的評価と比較すると客観的であるという利点がある.また,肉眼的評価の困難な腸管(浮腫,拡張など)の血流評価ができる可能性がある.しかし,定量的ではなく術者の主観的な評価となりうることも考慮すべきである.SMA閉塞症へのICG蛍光法導入の目的は短腸症候群予防のための腸管温存である.塞栓症のように分枝が閉塞している症例では有用となりうる.一方,動脈硬化性のSMA血栓症のように本幹が閉塞している症例では血管内治療などを併用することで有用となるのではないかと思われた.今後,症例を重ねて検討していきたい.
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