発表

2A-077

幼児の幼稚園における行動のストレス反応への影響

[責任発表者] 大島 みずき:1
1:群馬大学

【目的】幼児にとって初めての社会である幼稚園は,幼児にとってはストレスフルな場であることが考えられる。池堀ら(1999)では,遊びや友だちとの関係に関するストレッサーが園行事などのストレッサーよりもストレスが高いことを示している。本研究では幼児が幼稚園の仲間関係の中の行動特徴が幼児にとって負荷となるのかを検討することを目的とする。
【方法】<調査対象・調査時期・依頼方法及び倫理的配慮>A幼稚園の担任保育者5名にクラス在籍児(27−28名)の行動の評価を201X年8月に依頼,実施した。さらに幼稚園に子どもが通う保護者(年少28名,年中52名,年長55名,回収率96%)。調査の趣旨,回収方法,データの取り扱いについての説明を行い,調査への協力を依頼した。その際,調査への不参加が保護者・子どもの不利益にはならないことを明示し,同意書への署名も合わせて回答を201X年10月依頼,実施した。
<調査内容>幼児の園での行動 担任保育者がクラスの全幼児の評定を行うことを考慮し,中澤・中道(2007)による幼児の行動尺度(CBS)からCBS簡易版(18項目3段階)を作成した。
幼児のストレス反応評定 嶋田・戸ケ崎・坂野(1994)による小学生用ストレス反応尺度を使用した。小学生用ストレス反応尺度は本人が評定するものであったが,本調査ではこれを幼児のストレス反応について保護者が回答する形に変更した。
【結果と考察】<幼児の幼稚園での行動>CBS簡易版について因子分析(重み付けのない最小二乗法プロマックス回転)を行なった。複数の因子にまたがる1項目(9遊び仲間として友達から選択されない)を分析から除外し,先行研究同様の6因子(向社会的行動・非社交行動・不安-怖がり・過活動・攻撃行動・被排斥)を抽出した(Table1)。各因子の平均得点を算出し,学年よる幼児の行動の違いを検討するために分散分析を行なった(Table2)。「向社会的行動」,「非社交行動」,「不安-怖がり」,「被排斥」において有意な学年の主効果,およびその傾向が見られた。「向社会的行動」の得点は年少児・年中児の得点が年長児よりも低かった。「非社交行動」「被排斥」の得点は年中児の得点が年少・年長児よりも有意に高い,またその傾向が見られた。「不安-怖がり」の得点は年少,年中児の得点が年長児よりも高かった。
<幼児用ストレス反応>保護者が回答した幼児のストレス反応20項目に対して因子分析(重み付けのない最小二乗法,プロマックス回転)を行い,先行研究同様の4因子(抑うつ・不安,怒り・不機嫌,無気力,身体反応)を抽出した。各因子に含まれる項目の平均得点を算出し,他学年による違いを検討した(Table2)。その結果,「不機嫌・怒り」でのみ学年の主効果が見られ,多重比較の結果,年中児の得点が年長児よりも有意に高いことが示された。
<幼児のストレス反応への幼稚園での行動の影響>学年別に,幼児の幼稚園での行動のストレス反応への影響を検討するために重回帰分析を行った(Table3)。幼児の幼稚園での社会的行動とストレス反応の関連は年中時のみ見られ,年中児の「無気力」の高さは「向社会的行動」「過活動」高さが予測することが示された。年中児にとっては他の幼児に対しての向社会的行動は,過活動と同様にエネルギーを使うことであり,その結果,家庭ではストレス反応として無気力反応が見られるようになった可能性が考えられる。
<今後の課題>本調査では幼児の行動とストレス反応との関係は年中児でしかみられなかった。調査を実施した園はストレス反応の得点が極めて低く,このことも行動とストレス反応との関連が見られなかった要因の一つであろう。また特に年少において被験者数が少ないことなども結果に影響していると考えられる。今後これらの課題を踏まえ,さらに詳しく検討する必要があるだろう。(本研究はJSPS科学研究費 18K13103 の助成を受けて実施した。)

キーワード
ストレス反応/社会的行動/幼児


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