発表

1D-070

中年女性のきょうだい関係と実母への感情との関連性

[責任発表者] 小野寺 敦子:1
1:目白大学

問題と目的
きょうだい関係は,親が亡くなっても続く一生の間で最も長く続く人間関係である。これまでのきょうだい関係の研究には,きょうだい関係を分類した研究(例:飯野,1994),きょうだい関係に母親の養育態度が及ぼす影響に焦点をあてた研究(例:Stocker et al.,1997)などがあるが,多くの研究は青年期までのきょうだい関係の研究である。そこで本研究では,成人期のきょうだい関係に着目し,その関係性が実母への感情とどのように関係しているかを検討する。
方法
調査対象者:40歳~69歳までの中年女性393人を対象にWeb調査を実施した。平均年齢は53.9歳(SD=8.58歳)。調査時期:2019年2月。分析内容:(1)中年期のきょうだい関係項目:飯野(1994)のきょうだい尺度を参考に設定した22項目。(2)実母への感情を明らかにするために設定した小野寺(2011)の14項目。(1)(2)は4段階評定で回答を求めた。(3)きょうだい構成(兄・姉・弟・妹)。なお今回は2人きょうだいについて分析を行った。
結果と考察
(1)きょうだい関係項目の因子分析結果:きょうだい関係の22項目に対し因子分析(最尤法・Promax回転)を実施した。第1因子は,「2人でいても話題が見つからなくて困る」「○○のことは苦手だ」などの10項目で因子負荷量が高く「分離」因子と命名した。第2因子は,「○○とは友達のような関係である」「昔の子ども時代のことを話す」などの5項目で因子負荷量が高く「共存」因子と命名した。また第3因子は「心配事を相談する」「困ったことがあった時には意見を尋ねる」などの4項目で因子負荷量が高く「相談・頼り」因子,第4因子は「些細なことで言い争いをする」「口げんかをする」「頭にくることがある」の3項目で因子負荷量が高く「言い争い」因子と命名した(α係数は.80~85)。そして合成得点を算出し下位尺度得点とした。(2)分散分析結果:兄・弟・姉・妹を独立変数とし,きょうだい関係の各下位尺度得点を従属変数とした一要因分散分析と多重比較(LSD法)を行った。その結果「分離」兄>弟・姉>妹,「共存」妹・姉>弟>兄,「相談・頼る」妹・姉>兄・弟,「言い争い」姉・妹>兄・弟となった。中年女性と兄とは疎遠で関わりが少ない傾向にあるが,女性のきょうだい同士は,困ったことや心配ごとを相談する友人のような関係が認められたが,「言い争い」得点の平均値も高かった。このことから中年女性同士の関係性は,親密な場合もあるが言いたいことを言いあう矛盾する関性であると推察される。(3)クラスタ分析結果:きょうだい関係の4下位尺度を用いてクラスタ分析(k-means法)を実施し4クラスタが得られた。第1クラスタは「分離」「言い争い」得点が4クラスタで一番高く,「共存」「相談・頼り」が低かったため「分離群」(59人),第2クラスタは全得点が2番目に高かったため「アンビバレント群」(105人),第3クラスタは全得点が3番目であったので「疎遠群」(141人),第4クラスタは「共存」「相談・頼り」得点が1番高いが「分離」「言い争い」が低かったので「親密群」(88人)とした。次に4群のきょうだい構成を検討した。その結果,「分離群」の59名中,兄をもつ者が26名(44.1%)と一番割合が高く,「親密群」の88名中,姉34名(38.6%)妹26名(29.5%)となっていた。(4)中年女性の実母への感情:14項目からなる中年期女性の実母への感情について因子分析(最尤法・プロマックする)を行なった結果,2因子が得られた。第1因子は「母親から傷つくことを言われたことがある(あった)」「母親と私は意見が対立することがある(あった)」などの8項目で因子負荷量が高く「母親への嫌悪感と対立感情」因子と命名した(α係数.905)。第2因子は「心配事があると母親にまず相談する(した)」「母親は私の心の支えである」などの6項目で因子負荷量が高かったので「母親への依存感情」因子と命名した(α係数.819)。(5)実母への感情ときょうだい関係4群との関連:きょうだい関係4群を独立変数,母親への感情の2尺度の合成得点を従属変数とした一要因分散分析と多重比較(LSD法)を実施した(Table1)。その結果,「アンビバレント群」の「母親への依存感情」得点が4群で一番高く,アンビバレント>分離・疎遠,親密>分離,疎遠>分離で有意差が認められた。その一方「母親への嫌悪感と対立感情」得点は,分離群,次にアンビバレント群の得点が高く,分離>疎遠・親密,アンビバレント>親密間で有意差が認められた。さらにきょうだいに対してアンビバレントな感情を持つ群は,母親に対してもアンビバレントな感情をもつ傾向があるのではないかと考え「母親への嫌悪感と対立感情」得点と「母親への依存感情」得点を合算させ母親へのアンビバレント感情得点を算出した。そして本得点を従属変数とした一要因分散分析と多重比較を実施した。その結果「きょうだいアンビバレント群」の母親に対するアンビバレント感情得点は他の3群よりも有意に高かった。このことから母親へのアンビバレントな感情は,きょうだいへのアンビバレントな感情にも影響を与えていることが推察された。

キーワード
中年女性/きょうだい/母親


詳細検索