発表

1B-072

第二反抗経験と母親イメージとの関連

[責任発表者] 小高 恵:1
1:太成学院大学

問題 中学生の頃の母親への反抗は,青年の母親イメージと関連するのだろうか。青年期前期頃,青年は親や年長者との間で葛藤が生じやすくなると言われている。この時期,青年の自律性の欲求が高まり自分のことは自身で決定したいと考えるようになる。このような心理的自立の過程で反抗が生じるとされる。反抗にはいくつかの形態があり,小澤(1998)は,反抗には「親から離れる反抗」と「親に向かう反抗」があるとしている。このように青年の反抗は自律欲求が高まるため必然的に生じるとする一方で,青年の自律欲求に家族システムが対応できていないために反抗が生じるというものがある(白井,1997)。本発表では,青年が中学生の頃の反抗経験と,母親イメージとの関連について探索的な検討を行い,反抗が生じる要因について探る。

方法調査対象者:大学生102名(男子34名,女子68名)。対象者の年齢は20.1歳(SD=1.38)。調査時期:2018年7月。測定尺度:①Kuhn & McPartland(1954) によって開発された20答法を援用した親イメージ測定尺度を用いた。「“私のお母さんは・・・”に続く文を頭に浮かんできた順に15個以内で書いてください。」と教示した。②小澤(1998)の「親から離れる反抗」を参考にして5項目を作成し(例:母を避けて,家に帰るのが遅くなったことがあった。),「中学3年生頃」の母親との関係を想起してもらった。評定は「あてはまらない(1点)」~「あてはまる(4点)」の4件法である。調査を始める前に個人情報についてはプライバシーを尊重し,関連法規を遵守することを説明し,調査参加に承諾を得た者に回答してもらった。分析方法:①親から離れる反抗についての5項目の平均点を算出しこれを個人得点とし,2点以下を反抗経験低群,3点以上を反抗経験高群として分類した。②記述データは誤字脱字を修正し,反抗経験得点の高群と低群ごとにテキストマイニングによる分析をフリーソフトウェアのKH Coderを用いて行った。

結果と考察1. 母親イメージの全体的の記述について:母親イメージの自由記述の平均回答記述数は10.39(SD=4.67)であった。また,出現数の多い語は,「好き(90)」「優しい(55)」「上手(51)」「料理(45)」「怒る(22)」となっており,母親に対してポジティブな記述が多くみられた。
2. 反抗経験の高低による特徴語について:母から離れる反抗経験を高群・低群に分け特徴語を抽出した。その結果,両群ともに「好き」という特徴語がリストアップされたが,反抗経験高群では「怒る」,「口うるさい」がリストアップされており,青年が反抗する背景には母親の怒りやすさや口うるささがあると思われる。
3. 反抗経験の高低による母親イメージ:自由記述によって得られたテキストデータの共起ネットワーク図を反抗経験得点の高群・低群ごとに作成した。これをみると両群で共通しているカテゴリーとして,「好み」「身体的特徴」「趣味」が認められた。また反抗経験得点の低群の特徴として,「家族」に関するカテゴリーや「責任」についてのカテゴリーが得られた。一方,反抗経験得点の高群については,「怒り」や「ルールの厳しさ」「視野の狭さ」のカテゴリーが得られており,反抗の高さの背景には,母親のルールの厳しさや視野の狭さなどがあると思われる。上記の結果から,反抗が生起する背景に家族システムが対応できていない可能性があるということ,青年期の母親イメージ形成には,過去の母親と間に生じた葛藤が関連していることが示唆される。

引用文献Kuhn, M.H., & McPartland, T. S. (1954). An empirical investigation of self-attitudes. American Sociological Review, 19, 68-76.
小澤一仁 (1998). 親への反抗 落合良行(編) 中学二年生の心理 大日本図書
白井利明 (1997). 青年心理学の観点からみた「第二反抗期」 心理科学, 19(1), 9-24.

キーワード
反抗期/母親イメージ/テキストマイニング


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