発表

1B-071

ロボットは男の子?
日本人におけるロボットの性別観の発達

[責任発表者] 大神田 麻子:1
[連名発表者・登壇者] 谷口 康祐:2
1:追手門学院大学, 2:同志社大学

問題
近年,身の回りに様々な形状のロボット(ヒト型やイヌ型,掃除ロボットなど)が存在するようになってきた。これらのロボットに対して子どもは大人と同じように認識しているのだろうか。たとえば,日本の大人は,ロボットには,生物学上の性別は存在しないにも関わらず,男の子という印象を抱くことが多い。しかし,ロボットには実際には生物学上の性別は存在しない。本実験では,日本人の大人と子どもがさまざまな形状のロボット(ヒト型およびイヌ型)に男の子(あるいは女の子)という性別を付与するのか,付与するのであれば,そうした傾向はいつから生じるのかについて検討した。また,ロボット以外の刺激(生物学上の性別がある動物,生物学上の性別がない自然物と人工物)に対する性別観についても検討した。

方法
参加者
3歳児26名,5歳児23名,7歳児17名,大人22名が本実験に参加した。
刺激
ヒト型ロボット2種(大きいロボット[Nao],小さいロボット[kirobo]),イヌ型ロボット,性別のある生物(ディクディクとミーアキャットのぬいぐるみ,赤ちゃんの人形),性別のないもの(カタツムリの模型,黄色のミニカー,バナナの模型,造花のひまわり)を用いた。なお,色による性別のバイアスを排除するため,赤ちゃんの人形は黄色い服を着せ,ミニカーは黄色とし,その他の典型的な色のある刺激については自然な色が黄色であるという条件(バナナとひまわり)によって選択した。また,動物のぬいぐるみは自然な毛色が茶色のもので,かつペットとして身近に存在しない動物を模したものを選択した。写真は,ポーズによって性別の手がかりを与える可能性があったため,すべての対象物は,実物を提示した。

結果と考察
対象物に対し,男の子と答えた場合に1点,女の子と答えた場合に-1点を付与し,ロボット(キロボ,ナオ,イヌ型ロボット),生物学上の性別がある生き物(ディクディク,ミーアキャット,赤ちゃん人形),生物学上の性別がない対象物(カタツムリ,ミニカー,バナナ,ひまわり)の平均得点を求めた(Table 1)。この平均点について,年齢 (3, 5, 7歳, 大人) × 対象物 (ロボット, 性別あり, 性別なし)の混合要因計画の分散分析を行った。その結果,対象物 [F (2, 168) = 38.08, p = .000, η2 = .312]と年齢 [F (3, 84) = 8.274, p = .000, η2 = .228]の主効果が有意であった。下位検定の結果,ロボット得点(0.612)は,その他の得点よりも高く,性別なし (0.210)は性別あり (0.028)よりも高かった。また,3歳児の得点(-0.069)は,大人の得点(0.533)と5歳児の得点(0.461)よりも有意に低かった。しかし7歳児の得点(0.208)とは差がなかった。
なお,男の子の回答に1,女の子の回答に0を割り振り,各対象物における性別の偏りがあるか2項検定を用いて調べた(Table 2)。3歳児はいずれの対象物に対しても性別バイアスを示さなかったが,5歳以上の参加児(者)は,7歳児のナオ以外で男の子バイアスを示した。また,ミニカーとバナナについても男の子バイアス,一方,ひまわりでは女の子バイアスが見られた。
これらの結果から,5歳ごろから,ロボットは男の子であるという性別バイアスが生じる可能性が明らかとなった。こうした性別バイアスは,ロボットに特化したものではなく,他の対象物にも拡大されるようであり,その出現時期もロボットと同じであった。しかし,7歳児のみ,ナオで性別バイアスが出にくくなったのは,ロボットの色が赤であった可能性も考えられる。今後は,ロボットとその他の刺激に,典型的な女の子色(ピンク),典型的な男の子色(ブルー)を付与するとどうなるかについて調べる必要があるだろう。

キーワード
性別理解/ヒトとロボットのインタラクション/性別バイアス


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