発表

1A-071

養育者の学習支援態度と子どもの自己調整学習態度に子どもの気質が及ぼす影響
学齢期における縦断データより

[責任発表者] 水野 里恵:1
1:中京大学

問題
学齢期に達すると,子どもたちは,対人場面での「自己」の制御だけでなく,学業活動に関しても「自己」を制御することが求められるようになる。本研究では,発達初期から観察される情動反応性・情動制御性における気質的個人差(行動的抑制傾向,接近快活性,エフォートフル・コントロール)が,子どもの学習活動やそれを支援する養育者の態度に影響を与えている可能性について検討する。
方法
A市内5区の住民基本台帳から無作為抽出した2010年出生の第一子を対象に(コホート3),に対して下記の2つの質問紙調査を実施した。第7回気質測定(2017年10月実施)&第8回気質測定(2018年10月実施):郵送による質問紙調査を行った。有効回答は47名(男児19名,女児28名)から得られた。子どもの気質はTemperament in Middle Childhood Questionnaireを翻訳して使用した。使用した気質次元は,活性化コントロール(Activation Control:AC),主張性/優位性(Assertive / Dominance:AD),注意の焦点化(Attention Focusing:AF),恐れ(Fear:FE),強度の高い刺激に対する喜び(High-Intensity Pleasure:HP),衝動性(Impulsivity:IM),抑制コントロール(Inhibitory Control:IC),強度の低い刺激に対する喜び(Low-Intensity Pleasure:LP),知覚的敏感性(Perceptual Sensitivity:PS),シャイネス(Shyness:SH)の10次元であり,7段階評定で測定した。第9回質問紙調査(2018年11月実施):子どもの勉強への母親の介入態度,母親認識による子どもの算数勉強,子どもの家庭学習・授業態度(子どもが回答)について尋ねる調査である。親による介入・日常的サポート高柳 (1994) の行った質問紙調査において有効だった質問項目を参考に作成した(5段階評定)。子どもの学習態度は苅谷 (2008) の質問紙調査を参考に作成した(5段階評定)。算数の学習方略は Chen, P. P., Cleary, T. J., & Lui, A. M. (2015)を参考に,対象が日本の小学校低学年である事を踏まえた上で検討を行い作成した(5段階評定)。
結果・考察
尺度得点の算出
TMCQの10次元尺度についての確認的因子分析の結果,Effortful control1:AC,AF,IC, Effortful control2:LP,PS,Exuberance:AD,HP,IM, Behavioral inhibition:FE,SHの4つの因子で構成された。この結果に基づき,上位気質次元尺度(EC1, EC2, EX, BI)の得点を算出した。
親による勉強への介入態度・日常的支援態度については成績圧力支援尺度・一緒に勉強支援尺度・励まし尺度・日常的支援尺度の4尺度得点を,子どもの学習態度は家庭学習尺度・授業態度尺度,算数の学習方略は自己調整学習尺度・集中環境配慮方略尺度の4尺度得点を算出した。
気質の安定性
第7回調査と第8回調査の気質尺度得点間には有意な正の相関が見られた(EC1: .87, p<.001, EC2: .82, p<.001, EX: .86, p<.001, BI: .75, p<.001)ことから,学齢期初期において,情動反応性・情動制御性に係る気質的個人差は安定していることがわかった。
気質と学習態度・支援態度との関連
エフォートフル・コントロールは,算数の自己調整学習・子どもが集中して授業に取り組む態度に影響を与えていること,母親の励ましや日常的支援的態度に影響していること,行動的抑制傾向は成績圧力型支援を高めていることが示唆された。
本研究は,科学研究費助成(課題番号:17K04377)を受けて実施した。

キーワード
気質/学習支援/自己調整学習


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