発表

1D-063

Twitter利用における「独り言」
ストレスコーピング作用はSNS疲れを上回るか

[責任発表者] 宮代 こずゑ:1
[連名発表者・登壇者] 宗形 あかり#:2
1:宇都宮大学, 2:所属なし

目 的
 Twitterは,他のSNSと比較して自由性を持つという特徴があり,それゆえコミュニケーションツールとしての他に,自分の気持ちや意見をツイートするだけの「独り言」発信ツールとして利用しているユーザーがいる(藤井・山本・伊藤,2013)。「独り言」を通してユーザーは,日常では言えない気持ちや愚痴を発散している。様々なストレスイベントに遭遇する大学生にとって,ストレスの捌け口は不可欠である。しかし,Twitter上の独り言をストレス発散のツールとして利用しても,かえって身体的・精神的疲労から生じる「SNS疲れ」によってストレスを抱えてしまうことも懸念される(加藤,2013)。ネット依存やSNSトラブルの背景要因について解明する意味でも,大学生のSNS利用の目的の一つと考えられるストレスコーピングについて実証的に研究することは意義がある。そこで本研究ではTwitterに焦点を当て,Twitterの利用のされ方や独り言によるストレスコーピング作用の有無について検討を行った。
方 法
調査協力者 大学生193名(女性114名,平均18.86歳)
調査時期 2018年7月下旬と10月中旬
調査内容 
 ①フェイスシート:学年,年齢,性別
 ②Twitterの利用実態:佐藤・矢島(2016)を参考にTwitter利用における基本的情報の収集。メインアカウントと独り言アカウントの調査。
 ③Twitter利用におけるストレス経験:佐藤・矢島(2016)を参考に修正。他ユーザーの各項目の投稿内容を閲覧する頻度とそのストレス強度,自身が各項目の内容を投稿した頻度とそのストレス解消度(10項目,4件法)。
 ④ストレッサー尺度:菊島(2002)の大学生用ストレッサー尺度(38項目,出来事に対する経験頻度:3件法,その出来事の不快度:4件法)を使用。
 ⑤ストレスコーピング尺度:尾関(1990)の大学生用ストレス自己評価尺度(20項目,4件法)を使用。
結 果
内訳 Twitter利用者148名,独り言アカウント所持者25名。
独り言ツイートとストレスコーピング 自身が独り言ツイートをする頻度とそのストレス解消度について相関係数を算出した。独り言ツイートの種類にかかわらず,頻度とストレス解消度に正の相関が見られた。
他ユーザーの独り言ツイートによるSNS疲れ 他ユーザーの独り言ツイートを目にする頻度と,そこから受けるストレスの強度の相関を算出した。「鬱っぽい投稿や,病んでいる」「誰に対してか分からない悪口や愚痴」に関して正の相関が見られ(順にr=.24, p=.004; r=.30, p<.001),こうしたツイートを目にするほどストレスを感じていることが示された。
自身の独り言によるストレス解消度と他人の独り言による閲覧ストレスの比較 検定を行った結果,「仲の良い知り合いで遊んでいる」以外の9つの独り言ツイートにおいて有意な差が見られ,閲覧ストレスがストレス解消度を上回った(ps<.001)。
考 察
自分の独り言によるストレスコーピング 本研究からまず,ユーザ自身は独り言ツイートをすることによって自分のストレスが解消されると感じていることが示された。しかし全ての独り言ツイートにストレスコーピング作用があるわけではなく,とりわけストレスコーピング作用が高かったのが「他人に対する愚痴や悪口」に関する独り言であった。(この結果は,独り言アカウント所持者がそのアカウント作成の理由について「愚痴って発散したい」「普段吐き出せない愚痴等を言える場所が欲しかった」と自由記述で回答していることとも整合的である。)
 一方で,類似の項目と思われる「誰に対してか分からないような悪口や愚痴」については,独り言でつぶやいたとしても比較的「低い」ストレス解消となっており(M=1.50, SD=0.71),ストレスの原因となる相手がわかるようにツイートするか否かでストレス解消度が変わるということも示されている。すなわち,本来の意味での「独り言」というよりは,独り言に用に見せかけつつ相手への不満伝達や攻撃のためのツールとしてつぶやきを利用している可能性がある。
他者の独り言から受けるストレス しかし,そうしたつぶやきを他者が行っているのをTwitterで目にすると,自分の独り言によって発散された以上のストレスを感じるという非対称性も示された。これは上述の「対象が明言されていない攻撃」を目にすることで,ユーザはそれが自分へ向けられているのではないかと考え,不安を感じてしまうものと思われる。
まとめと展望 独り言ツイートは一時的なストレス解消にはなるが他者のツイートを閲覧する際にそれ以上のストレスを感じてしまう可能性がある。Twitterではタイムライン上に他者のツイートが表示されるため,自分のツイートだけを発信して他者のツイートは見ないというのは難しい。SNSユーザはそのことを理解して利用する(場合によってはミュート機能を使う・Twitter利用時間を減らすなどの対処をする)べきである。また,SNSユーザはネット上での自分の発言が第三者に不要な不安を感じさせてしまう可能性についても考慮しながら利用しなければならない等,ネットリテラシー教育の必要性を示唆するものである。

キーワード
SNS依存/SNS疲れ/ストレスコーピング


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