発表

1D-061

接遇におけるポライトネス表現が被受容感に及ぼす影響
モバイル電話ショップと観光宿泊施設との比較

[責任発表者] 宮崎 圭子:1
[連名発表者・登壇者] 山本 絵梨#:2
1:跡見学園女子大学, 2:跡見学園女子大学

【問題】ポライトネスとは対面コミュニケーションの言語的振る舞いにおける配慮のことである。Brown & Levinson(1987)はポライトネスには他者に受け入れられたい・よく思われたいとするポジティブポライトネスと,他者に邪魔されたくないたくない・踏み込まれたくないとするネガティブポライトネスの二側面があることを示している。日本語には特有の敬語という文法が存在する。この日本語の敬語は後者にあたる。つまり,日本語の敬語は侵襲性を軽減するコミュニケーションといえる。宮崎ら(2017)は,産業領域における効果的なメールカウンセリングにおいて,ポライトネス表現(敬語)が重要な要素となる可能性を示唆した。須藤・宮崎(2018a)は,女子学部生を対象に刺激文としてのメール相談の3パターンの送受信(ポライトネス,ややポライトネス,ノンポライトネス)を読んでもらった。有意にややポライトネスの方がノンポライトネスより自信を失うことが少なかったことが明らかとなった。さらに,須藤・宮崎(2018b)は,ポライトネス表現である敬語の程度により,メールカウンセリングがどのように感じられているかを検討した。調査対象者は心理カウンセラートレーニング中の院生である。その結果,記述統計レベルではあるが,うつの主訴ではポライトネスが,キャリア主訴ではややポライトネスが良いと感じた。ポライトネスは対面に限らず,テキストスタイルのコミュニケーションでも影響を及ぼすようである。しかしながら,上記により,テキストスタイルのメールカウンセリングにおいて,青年期女子では必ずしも敬語が強く表現されるスタイルが,いつも有効な影響を及ぼすわけではなさそうである。通常の対面式の接遇場面において,青年期女子はポライトネス(敬語)をどのように感じるのだろうか。

【目的】接遇における対面コミュニケーションにおける,ポライトネス表現と被受容感の関係を検討することである。

【方法】調査対象者:関東圏内の私立女子大学生153名(M:19.65歳,SD:1.04),調査時期:2017年4月下旬~5月中旬,調査手続き:授業中での質問紙による一斉配布一斉回収,調査内容:4種類の刺激文(携帯ショップポライトネス・携帯ショップややポライトネス・ホテルポライトネス・ホテルややポライトネス)(Table1・2参照)。被受容感尺度(鈴木・小川,2008。7項目)。本刺激文は日常生活で発生する困りごと場面を予備調査し得られたデータを内容分析して,作成した。

【結果】1.各場面におけるポライトネスの差の検討:携帯ショップ,ホテル毎に,ポライトネスとノンポライトネスを独立変数にt検定を行った。ホテルでは5%水準で有意にポライトネスの方が,被受容感が高かった。携帯ショップでは有意な差はみられなかった。2.ポライトネス,ノンポライトネス(ホテルと携帯ショップ)の差の検討:各4つの刺激文を独立変数とした一元配置分析を行った。1%水準で有意に携帯ノンポライトネスよりホテルポライトネスの方が,5%水準で有意に携帯ポライトネスよりホテルポライトネスの方が,被受容感が高い事が明らかとなった。

【考察】ホテルではノンポライトネスよりポライトネスの方が,被受容感が高かった。観光という状況下で,「ホテル」のスタッフに対して「おもてなし」されることを調査対象者はかなり期待するのだろう。丁重な「おもてなし」としてのネガティブポライトネス(敬語)の方が好まれたのだと考える。携帯ショップではポライトネスの程度に有意な差はみられなかった。有意差がなかったことに対して拡大解釈は現に慎まなければならないが,携帯ショップに対しては「おもてなし」よりも「携帯が使えるようになること」(実利)が優先され,店員の配慮(敬語)スタイルに無関心となるのかもしれない。この点に関しては,さらに対象者人数を増やしての検討が望まれる。接遇場面でも,ポライトネス(敬語)の程度に対する受けとめ方は,どのような接遇場面かによって変化するようである。

キーワード
ポライトネス表現/被受容感/接遇


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