発表

1C-060

大学生のサークル新歓活動および交友活動とストレス、気分

[責任発表者] 宮田 裕光:1
[連名発表者・登壇者] 清田 樹那#:1
1:早稲田大学文学学術院

目 的
 大学生の心理的ストレス,およびそれが気分や体調など心身に与える影響については,生活環境や友人関係などの多くの要因が関連していることが指摘されている (後藤・大坊, 2003)。しかしながら,サークル新歓活動と親しい友人との交友活動のように,質的に異なる対人場面が心理的,身体的ストレスや気分におよぼす影響を,同一個人において直接的に比較検討した知見は少ない。本研究では,大学生のサークル新歓活動および交友活動における心理状態,およびそれらと日常のストレス,気分状態との関連を,質問調査によって検討した。大学生にとって新歓活動はストレスを感じやすく,心身に望ましくない影響がある一方,交友活動はストレスを感じにくく,心身に望ましい影響があることを予想した。
 方 法
参加者および手続き:
 野球サークルに所属する大学2~4年生48人 (女性17人; 平均年齢21.0歳, SD = 1.0) が参加した。質問調査は,Google フォームを用いてオンラインで行った。参加者は,当該ウェブサイトのフォーム上で調査内容に関する説明を読み,調査協力に同意した場合には,当該のチェックボックスにチェックした。調査は,2018年11-12月に行った。
質問項目と心理評定尺度:
1. サークル新歓活動および交友活動に関する質問
 これまでに経験したサークルの新歓活動,およびこれまでの大学生活での親しい友人との交友活動について,各5項目,計10項目の質問を独自に作成した。具体的な質問は,新歓活動については「積極的に取り組んだ」「好きである」「得意である」「苦にならない」「ストレスを感じた」,交友活動については「よく行う」「好きである」「自分から誘う」「苦にならない」「ストレスを感じた」で,各項目に10件法 (1~10点) で評定させた。
2. 大学生用ストレス自己評価尺度-調査票A-
 ストレッサー尺度,ストレス反応尺度,コーピング尺度から構成される調査票 (尾関, 1993) のうち,ストレスに対する心理的な反応を測定するストレス反応尺度を用いた。情動的反応15項目 (抑うつ,不安,怒り),認知・行動的反応15項目 (情緒的混乱,引きこもり),身体的反応20項目 (身体的疲労感,自律神経系の活動性亢進) の各下位尺度からなり,最近1週間の状態を4件法 (0~3点) で評定させた。
3. Positive and Negative Affect Schedule (PANAS) 日本語版
 ポジティヴ気分 (PA),ネガティヴ気分 (NA) 各8項目からなる簡易気分評定尺度 (佐藤・安田, 2001) で,最近1週間の状態について各項目に4件法 (1~6点) で回答させた。



 結 果
 新歓活動および交友活動に関する質問項目のうち,「好きである」「苦にならない」の得点は交友活動の方が新歓活動よりも有意に高く (t47 = -7.707--7.295, all ps < 0.001),「ストレスを感じた」の得点は交友活動の方が有意に低かった (t47 = 5.858, p < 0.001; 表1)。
 新歓,交友活動の質問項目と心理評定尺度得点との偏相関分析 (統制変数: 年齢,学年) を行った結果,新歓活動については「苦にならない」の得点とストレス反応尺度の「身体的反応」の得点との間に有意な負の相関 (偏相関係数 = -0.313, p = 0.034),「好きである」「得意である」「苦にならない」の得点とPA得点との間に有意な正の相関 (偏相関係数 = 0.448-0.541, all ps < 0.002) がみられた。交友活動については,「好きである」「苦にならない」の得点と「身体的反応」の得点との間に有意な負の相関 (偏相関係数 = -0.372--0.360, all ps < 0.014),「よく行う」「自分から誘う」の得点とPA得点との間に有意な正の相関 (偏相関係数 = 0.393-0.418, all ps < 0.007) がみられた。
 考 察
 新歓,交友活動とを直接比較すると,新歓活動の方が交友活動よりもストレスや苦痛を感じやすく,好きでないという,仮説を支持する傾向が示された。一方,心理評定尺度得点との偏相関分析では,新歓,交友活動ともに,活動が好きで苦でない傾向が高いほど,回答時点でのストレスへの身体的反応が低く,ポジティヴな気分評定が高いといった傾向がみられた。これらから,大学生の活動がストレスを含む心身におよぼす影響は,活動の種類により異なるが,個々の活動自体への態度もストレスや気分状態と関連していることが考えられる。各活動の期間中の心理状態や,それらと性格特性との関連など,より包括的な検討を加える必要がある。
 引用文献
後藤学・大坊郁夫 (2003). 大学生はどんな対人場面を苦手とし,得意とするのか?コミュニケーション場面に関する自由記述と社会的スキルとの関連. 対人社会心理学研究, 3, 57-63.

キーワード
大学生/ストレス/気分


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