発表

2B-060

ギャンブルとの関わり方は性別や年代によって変化する

[責任発表者] 破田野 智己:1
1:立命館大学

 ギャンブルの内容や行う目的には,性別や年齢による差があると指摘されており,その差は個人とギャンブルとの関り方の多様性や変遷を反映している可能性がある。たとえばパチンコを行う理由ならば,男性は「お金もうけの期待感」,女性は「気分転換や暇つぶし」を挙げる割合が高く,出玉を換金する理由についても女性は「元々金もうけのつもり」と答える割合が少ないという(社会安全研究財団,2003)。このことは,金銭だけではなく娯楽のためにもギャンブルが行われるとの指摘(Crentsil, 2014)と一致する。またMok & Hraba(1991)はよく行うギャンブルの種目について,青年層ではブラックジャックやポーカー,スポーツ賭博,ビンゴを行うことが多いのに対し,中年層では投機や投資,競馬,高齢者層ではビンゴが好まれることを報告し,年代によってギャンブルに求める内容が変遷すると推測している。2019年現在,日本にはカジノが存在しておらず,パチンコ・スロットが定着しているため,選ばれる種目は異なると考えられるものの,ギャンブルとの関わり方が異なるなら,それが性差や年代差となって表れる可能性がある。
 そこで本研究では,ギャンブルを行う程度に性差や年代に差があるのか調査し,個人とギャンブルとの関わり方の多様性を探る。もし,先行研究が示す通りの差があるならば,年代によって参加するギャンブルが異なることや,女性は男性よりもライトな感覚でギャンブルを行うことなどが示唆されるだろう。
 方法
計画 参加者間要因として,性別(2水準:男性・女性)×年代(3水準:20~30代・40~50代・60代以上)の6条件を設けた。
参加者 6条件のそれぞれにつき103名,計618名の成人(男性309名,女性309名,平均年齢49.0歳)から回答を得た。
手続き 専門の業者に委託し,Webを介して質問紙調査を行った。調査には,ギャンブルへの参加頻度のほか,ギャンブルを行う目的や関わり方に関する設問が含まれていたが,今回は参加頻度の調査結果のみを報告する。参加頻度については,後述する15種のギャンブルのそれぞれを「多いときにはどのぐらいやるか(やっていたか)」と問い,「やったことがない」,「1~数回だけやった経験がある」,「年に何度か定期的にやる(やっていた)」,「月に何度か定期的にやる(やっていた)」,「週に何度か定期的にやる(やっていた)」,「できる日はほぼ毎日やる(やっていた)」から選択するよう求めた。対象としたギャンブルは,大学生を対象とした予備調査で認知度が高かった,ロト,toto,宝くじ,麻雀,ポーカー,ブラックジャック,ルーレット,さいころ,競輪,競艇,競馬,オートレース,スロット,パチンコ,花札の15種とした。なお,「賭博罪」に抵触する種目しか行ったことがない個人は調査対象外としたが,それに該当する例は無かった。
 結果と考察
 図1は,ギャンブルおよび年代の別に,「やったことがない」以外の回答をスタックチャートとして示したものである。図では「1~数回だけやった経験がある」を「数回」,「年に何度か定期的にやる(やっていた)」を「毎年」のように略記しており,以降ではこの表記を用いるとともに,その合計を「経験者数」と呼ぶ。また,本稿では経験者数の合計が多い順に8種目を抜粋して示した
 図1の経験者数に注目すると,パチンコと宝くじで180人(約90%)前後と多く,これにスロット,競馬,ロト,麻雀が後続するが,パチンコ,競馬,花札,スロットなどでは年代による差があることがわかる。宝くじと比べて,パチンコの経験者が20~30代で少ないのは,宝くじがパチンコより「気軽」なイメージがある(破田野,2019)ことを反映したものと推察されるが,年齢に伴って経験者数は漸増すると考えられる。これに対して,競馬や花札の差は,これらの種目が若者に支持されない理由,あるいは齢を重ねると感じる魅力があることを窺わせる。また,60代以上でスロットの経験者が少ないのは,魅力の問題に加え,比較的新しい遊技であることに由来する,コホート効果もあると考えられる。
 また図1の参加頻度の内訳に注目すると,パチンコでは毎月・毎週・毎日の割合が高いのに対し,宝くじでは数回や毎年の割合が大勢を占めることがわかる。日本におけるギャンブル障害の大半はパチンコとスロットによるものとの報告(神村, 2014;社会安全研究財団, 2003)は今回の結果とよく符合するが,参加頻度の分布が似ている競馬や麻雀を行う理由がパチンコと同じであるか否かについては,更なる研究が必要と考えられる。一方,宝くじはライトに参加する個人が多く,どの世代でも年に1回程度楽しむ程度であることがわかる。本稿では結果を割愛したが,調査の結果,全体的に女性は男性よりも経験者の総数が低いものの,宝くじやtotoだけは女性の経験者のほうが男性より多かった。このことは宝くじが「気分転換や暇つぶし」を目的に行われることの傍証となるだろう。

キーワード
ギャンブル/年代差/性差


詳細検索