発表

2A-063

中心・偶発学習課題を用いた虚再生の検討
ソースモニタリング教示を用いた検討

[責任発表者] 中山 友則:1
1:中央大学

問 題 事後情報効果やDRMパラダイムを用いた際に見られる虚再認や虚再生のように,実際に経験していないことを実際に経験したこととして思い出すことや,実際に経験したこととは大幅に異なって思い出すことを虚記憶と言う(Roediger & McDermott, 1995)。虚記憶研究では生起メカニズムを検討するとともに虚記憶を減少させる方法の検討も必要である。事後情報効果ではLane, Roussel, Vila, & Morita (2007)が記憶テスト直前にソースモニタリングを促進するための教示によって事後情報効果の減少を報告している。この教示をDRMパラダイムに応用した中山(2013)では教示により虚再認が増加した。これは虚記憶である点は同じでも事後情報効果に有効な教示がDRMパラダイムでは不利となる可能性を示している。しかし,再認テストではソースモニタリングが行われにくいため教示が有効でなかった可能性も考えられる。そこで本研究では,再認テストよりもソースモニタリングが要求されると考えられる再生テストを行い,テスト直前の教示がDRMパラダイムにおける虚記憶に及ぼす影響を検討する。
方 法 実験参加者 大学生96名が実験に参加した。
 実験計画  2(教示の有無)×2(リストの種類:意図学習,偶発学習)の2要因混合計画であった。第1要因が被験者間要因,第2要因が被験者内要因であった。
 材料 DRMパラダイムで用いる単語リストは宮地・山(2002),星野(2002)より8リストを選定した。1リストは15単語で構成され,リスト語と関連が深く,学習段階では非呈示で虚再生の指標となるCL語が存在した。8リストは4リストずつ意図学習リスト,偶発学習リストに分けられた。
 手続き 集団実験であった。実験開始前には単語リストの記憶実験であると教示した。最初の学習段階では意図学習リストの60単語と偶発学習リストの60単語を2秒間隔で対呈示した。意図学習リストの単語については,単語の下に★マークが付けられていた。参加者には,★マークのついている単語は出来る限り記憶し,★マークのついていない単語については無視するように教示した。単語リスト呈示後は妨害課題を2分間行い,その後再生テストを実施した。参加者には★マークの有無に関係なく,学習時に呈示された単語をできる限り思い出すように教示した。この時,教示有条件の参加者には,学習時の文脈を再生の際の判断材料とするよう要求した。学習時の文脈とは,項目の順番,対呈示であることから呈示の際の左右の位置,その当時に考えた事等の認知操作,★マークの有無である。これらを全てではなくても思い出せるのであれば,それは学習単語であった可能性が高いと教示した。特に★マークの有無は大きな手がかりになると伝え,活用するように伝えた。再生時間は5分間とした。


結 果 学習時に呈示された単語を再生した場合を正再生,CL語を再生した場合を虚再生とし,その平均値をTable1に示した。正再生率に対して2×2の分散分析を行ったところ,両主効果と交互作用が有意であった[F(1,94)=7.17, p<.01, ηp2 =.07; F(1,94)=1183.89, p<.01, ηp2=.93; F(1,94) =16.25, p<.01, ηp2=.14]。教示あり条件で意図学習リストの正再生率が有意に高かった。虚再生率に対して2×2の分散分析を行ったところ,両主効果と交互作用が有意であった[F(1,94)=5.59, p<.05, ηp2=.06; F(1,94)=188.11, p<.01, ηp2=.67; F(1,94) =5.59, p<.05, ηp2= .06]。教示有および両条件のリストの種類の単純主効果が有意であった[F(1,94)=5.59, p<.05, ηp2=.06; F(1,94) =99.94, p<.01, ηp2=.78; F(1,94)=100.43, p<.01, ηp2=.61]。教示有条件で虚再生率が有意に低く,両条件とも意図学習リストの虚再生率が有意に高かった。考 察 本研究はソースモニタリングを促進する教示を再生テスト直前に行いDRMパラダイムの虚記憶に及ぼす影響を検討した。その結果,正再生率,虚再生率のどちらも再生率が減少した。教示によりはソースモニタリングを適切にできた可能性もあるが,呈示されたものと呈示されなかったものを区別するソースモニタリングを適切にできたというよりも,確実なものだけを報告した可能性も考えられる。つまり,教示により参加者の慎重な判断を促し,確実なものだけ回答したということである。また,この結果は,再認テストの結果とは異なることから,課題により教示の効果が変わるため,課題に最適な教示を考える必要がある。また,本研究で用いた教示はもともと事後情報効果研究で用いられたものであった。こうしたことから,用いるパラダイムや課題に応じた教示について考えていくことが今後の課題と言える。
(Tomonori NAKAYAMA)

キーワード
虚再生/中心・偶発学習課題/ソースモニタリング教示


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