発表

1B-057

予期Warm-glow及び予期罪悪感は援助行動意図と正に関連する

[責任発表者] 小林 正法:1
[連名発表者・登壇者] 小國 龍治:2, 大竹 恵子:2,3
1:山形大学, 2:関西学院大学, 3:応用心理科学研究センター

 様々な行動の意思決定において,その行動を取った際にどのような感情を感じるかという予測(予期感情)が影響する(e.g., Perugini & Bagozzi, 2001)。例えば,将来起こりうる出来事や行動を詳細に想像するというエピソードシミュレーション(想像)を援助行動に対して行うことで援助行動意図が高めることが示されているが(e.g., Gaesser & Schacter, 2014),想像の際にポジティブ感情を予期するほど援助行動意図が高いこと(Gaesser et al., 2016)が明らかになっている。これらの知見は,援助行動を行わないことに伴うネガティブ感情の解消や援助行動を行ったことによるポジティブ感情の生起のために援助行動が生じるとする否定的状態解消モデル(Cialdini et al., 1987)とも一致している。しかしながら,予期warm-glowや予期罪悪感といった特定の予期感情が(想像時の)援助行動意図に与える影響は不明である。Warm-glowは罪悪感と対比される,良い行動を行ったことで生じる自己に向かうポジティブな感情反応とされる(Erlandsson et al., 2016)。このような背景から,本研究は(援助行動を行う想像時の)予期warm-glowと(援助行動を行えなかった想像時の)予期罪悪感のそれぞれが援助行動意図に与える影響を調べた。実験1は予期warm-glowと予期罪悪感が援助行動意図に与える影響を検討し,実験2は個人の持つ(元々の)援助行動意図の影響を統制した上で実験1の再検討を行った。否定的状態解消モデルから,予期罪悪感と予期warm-glowともに援助行動意図の高さと関連すると予測した。

方法
 参加者・デザイン 実験1は74名,実験2は66名が参加した。群(援助想像群,非援助想像群)を要因とした参加者間1要因デザインとした。
 刺激・手続き 小國他(2018)より刺激を選定し,援助が必要な状況にある人物を描写した文章(例. 貧血になり,座りこんでいる人がいます)を8文用いた。実験1,2ともにクラウドワークスを介したオンライン実験として実施した。実験1では,援助想像群に対しては,刺激文を10秒間提示した後,30秒間,行ったことのある場所(デパート・ショッピングモール,大きな駅)で刺激文に描写されている人物を助ける想像をするように求めた。その後,想像の鮮明さ(まったく想像しなかった[0]〜非常に鮮明に想像した[100]),予期warm-glow(まったく感じない[0]〜非常に感じる[100]),(描写されている人物への)援助行動意図(まったく思わない[0]〜非常に思う[100])の評定を求めた。なお,予期warm-glowは「暖かい気持ち」という表現で示した。非援助想像群は,描写されている人物を助けることができなった想像をするよう求め,予期罪悪感の評定(まったく感じない[0]〜非常に感じる[100])を求めた点以外は援助想像群と同様であった。実験2は,課題前に刺激8文を提示し,各場面への(元々の)援助意図をベースラインとして評定するよう求めた点以外は実験1と同様であった。

結果と考察
 実験1 混合効果モデルによる分析を行った(参加者と刺激をランダム効果としたランダム係数モデル)。援助行動意図得点(Figure.1a)に対して群を固定効果とした分析を行った結果,援助想像群は非援助想像群よりも援助行動意図得点は有意に高かった(B = 13.50, p < .01)。また,群ごとに各予期感情を固定効果とし,援助行動意図得点の関連を調べたところ,予期warm-glow(B = 0.40, p < .01)と予期罪悪感(B = 0.81, p < .01)ともに援助行動意図得点と正に関連していた。このように,予期warm-glowと予期罪悪感とも援助行動意図の高さと関連したものの,(元々の)援助行動意図が高い参加者が予期warm-glowと予期罪悪感を感じやすい可能性も考えられる。そこで実験2では,援助行動意図のベースラインを測定し,その影響を統制した上でこれらの関係を再検討した。
 実験2 想像前の援助行動意図得点を投入した点は実験1と同様の分析とした。まず,援助想像群は非援助想像群よりも援助行動意図得点(Figure.1b)は有意に高かった(B = 16.24, p < .01)。さらに,予期warm-glow(B = 0.57, p < .01)と予期罪悪感(B = 0.68, p < .01)ともに援助行動意図得点と正に関連していた。
 本研究によって予期warm-glow及び予期罪悪感は(想像時の)援助行動意図の高さと関連することが明らかになった。現実場面では,様々な想像をもとに意思決定を行う場合も多いが,援助行動においてはその際に予期するwarm-glowや罪悪感が重要な手がかりとして機能する可能性が示された。本研究結果を踏まえ,今後は実際の援助行動の生起と予期感情の関連を調べる必要があるだろう。

キーワード
援助行動/予期感情/想像


詳細検索