発表

1A-058

ビデオ依存再認におよぼす提示様式の効果

[責任発表者] 漁田 武雄:1
[連名発表者・登壇者] 漁田 俊子:1, 久保田 貴之:1, 日隈 美代子:1, 坂田 明穂#:1, 八木 洸成#:1
1:静岡産業大学

 環境的文脈依存再認は,(Isarida et al., 2012, 2018a, 2018b)。局所的環境的文脈では,文脈負荷(1文脈と連合する項目数)によって生成機構が異なる。グローバル環境的文脈では,アウトシャイン現象が生じ,文脈にもとづくmirror effectが生じる。これに対してビデオ文脈では,局所的環境的文脈とグローバル環境的文脈の両方を傾向を示す。けれども,アウトシャイン現象を示しながら,mirror effectが生じない。本研究は,再認テストにおける項目間連合情報の利用可能性を操作し,mirror effectが生じるか否かを調べた。このため,1画面で4項目を同時提示する条件を設けた。局所的環境的文脈では,じ属性を持つ文脈にもとづく群化が生じない(Isarida & Isarida, 2007)。けれども,同時提示された項目群は,群化する。
方 法
実験参加者 静岡産業大学の学生40名が実験に参加した。
実験計画 3要因混合計画を用いた。第1の要因は,提示の様式(継時 serial,同時 simultaneous)で,実験参加者間要因とした。第2の要因は,テスト方法(集中 massed,分散 distributed)で,実験参加者内要因とした。第3の要因は,文脈(同文脈 SC, 異文脈 DC)で,実験参加者内要因とした。40名の実験参加者は,ランダムに継時条件と同時条件に割り当てた。
 材料 熟知価3.5以上の72個の3文字名詞(小柳・石川・大久保・石井, 1960)を相互に無関連となるように選出した。項目は36個ずつ旧項目と新項目に,ランダムに分割した。.
 文脈 Smith & Manzano (2010) の基準に従って作成した4秒のビデオクリップを16個使用した。
 手続き 実験参加者は個別に15分間の実験に参加した。学習セッションの時に,全項目を無作為に4項目ずつ8セットに分割した。継時条件では,セット内の項目を1個ずつ,同じ4秒ビデオクリップ上に連続提示した。同時条件では,セット内の4項目を,ビデオクリップ上に2×2のマトリックスで同時提示した。 1項目あたりの学習時間を継時条件と等しくするため,4項目とビデオの同じ組み合わせを4回繰り返した。セットとセット内の項目の提示順序,セット内の項目の配置は,実験参加者間でランダムに変更した。
テストセッションの際,8セットの旧項目の半分を,さらに半分の2項目の8セットに分割した。さらに,新項目の半分は4項目ずつ4セットに分割し,残りの半分は2項目ずつ8セットに分割した。継時条件では,テスト項目は連続的提示し,各ビデオクリップを4回繰り返した。同時条件では,テスト項目を4つずつ,ビデオクリップに同時提示した。これは,同時条件と継時条件の学習時間を等しくするために4回繰り返した。2セットの4項目を,1セットずつ同じビデオクリップで提示し(SC項目の集中条件),他の2セットは新しいビデオクリップで提示した(DC項目の集中条件)。 4セット内の2つの旧項目と4セット内の2つの新項目は,一緒に同じビデオ上で提示した(SC項目の分散条件)。さらに,4セット内の2つの旧項目と4セット内の2つの新項目を一緒に,新しいビデオで提示した(DC項目の分散条件)。
結 果
 各条件ごとのhit率,false alarm率,d' をTable 1 に示す。hit率,false alarm (FA) 率,d' のそれぞれについて,3要因の分散分析を行った。Hit率では, 2次の交互作用が有意であった [p = .017]。下位分析の結果,継時条件では,集中条件[p < .001]と分散条件[p < .001]の両方で文脈依存効果が有意であったが,同時条件では,集中条件でのみ有意で[p = .005],分散条件では文脈依存効果が消失した[F < 1]。FA率では, 提示様式×文脈の交互作用が有意であった[p = .018],下位分析の結果,継時条件と同時条件のいずれにおいても文脈依存効果は生じなかった[いずれもF < 1]。d'では, 2次の交互作用が有意であった[p = .017]。下位分析の結果,継時条件では,集中条件[p = .002]と分散条件[p = .025]の両方で文脈依存効果が生じたが,同時条件では,集中条件でのみ生じ[p = .047],分散条件では文脈依存効果は消失した[F < 1]。
考 察
 本研究の結果,確実に項目間連合情報が利用できる同時・集中条件でも,context-based mirror effect(Isarida et al., 2018a)が生じなかった。この結果は,context-based mirror effectの形成に項目間連合が関与しないことを示している。
 同時提示の分散条件では,文脈依存効果が消失した。これに対して,継時提示条件では,集中-分散にかかわらず,同様な文脈依存再認が生じた。この結果より,(1) 継時条件では,ビデオ単体が文脈として機能すること,(2) 同時提示条件では,ビデオと4項目の組み合わせが,文脈として機能したことが示唆される。

キーワード
文脈依存再認/ビデオ文脈/提示様式


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