発表

2A-057

声の高さが話者のイメージに与える影響

[責任発表者] 永岡 琴美:1
1:京都文教大学

目的
 筆者は学内の就職ガイダンスで,面接場面では,女性はソの音から始めるのが良いと聞き,発話時の音程が話者のイメージにどのような影響を与えるのか興味を持った。内田・中畝(2004)は話者の声の高さと発話速度によってどのように話者の性格印象に影響を与えるのかを検討している。声の高さにおいて原音声の高さの周辺でBig Five Scaleの「経験への開放性」,「勤勉性」,「協調性」が最も評価が高く,原音声の上昇・下降の場合には評価が下がることが示された。さらに,音声変換に伴う不自然性が評価の低下に影響を与えている可能性を示している。
 本研究では自然音声を使用することで生態学的妥当性の高い結果が得られるのではないかと考えられる。また,幅広い年代を調査協力者とし各年代で比較することで,就職活動の面接場面で面接官となる可能性のある64歳以下の特徴の一端を示すことができるのではないかと考える。女性の平均話声位と就職ガイダンスで指定されていた「ソ」から始めた2種類の模擬面接場面音声を作成し,声の高さによる話者のイメージへの影響を年代別(学生,社会人,高齢者)に検討することを本研究の目的とする。仮説として,先行研究の結果から,声の高さは話者の性格印象に影響を与えるであろう。さらに低い声の印象評定値が高いと予想する。そして年代と声の高さの関係については,声の高さが話者の印象に影響を与えるならば聞き手の年代はどの年代であっても印象の良し悪しは同様であると予想する。
方法
調査協力者 18歳から77歳の146名(男性63名・女性83名)。
調査時期 2018年5月から7月
調査内容 林(1978)の特性形容詞尺度を用いたSD法による質問紙調査。女性の発話者による高,低2種類の音声刺激を用い,就職面接場面を想定した音声を刺激とした。
手続き 2種類の音声を調査協力者に聞いてもらい,それぞれの音声から推測される話者のイメージについて質問紙で回答を求めた。
結果
 音声別,項目別の各尺度の平均評定値を算出した結果,低音声において「重々しい-重々しくない」,「沈んだ-うきうきした」の得点が高く,高音声において「社交的な-社交的な」の得点が高いことがわかった。因子分析により低音声から「勝気さ」と「短慮さ」と「堅苦しさ」,高音声から「傲慢さ」と「怠惰さ」と「厳粛さ」因子を抽出した。これらの因子が年代とどのような関わりをしているのかを検討した結果,堅苦しさ因子で学生(18~22歳)と社会人(23~64歳),学生と高齢者(65歳~)との間に差異がみられた(Figure1)。同一被検者内で用いた音声間での違いを調べるため,特性形容詞尺度得点の平均値の差を検討したが,有意差はみられなかった。音声の高さと年代を独立変数,特性形容詞尺度を従属変数とした2元配置分散分析を行った結果,音声の高さ要因と年代要因にそれぞれ異なる8項目においての有意な主効果がみられた。また,10項目において有意な交互作用がみられた(Table1)。
考察
 低音声と高音声の平均値に有意な差は見られず,低音声において学生の堅苦しさ因子が高いという結果が示され,仮説は一部支持された。本研究から,年代の要因が性格印象に与える影響の差はあまりみられず,良いと指定されていた音程に留意して就職活動の面接場面に臨む必要はない可能性が示された。
引用文献
林文俊 1978 対人認知構造の基本次元についての一考察 名古屋大学教育学部紀要(教育心理学科) 25, 233-247.
内田照久・中畝菜穂子 2004 声の高さと発話速度が話者の性 格印象に与える影響 心理学研究 75, 397-406.

キーワード
性格印象/音声/高さ


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