発表

1D-045

事前の動作刺激が意思決定の結果に対する印象に与える影響の分析

[責任発表者] 四方 庸子:1
[連名発表者・登壇者] 松居 辰則:2
1:早稲田大学, 2:早稲田大学人間科学学術院

目 的
多くの選択肢から何かを選ぶ際に,迷いや葛藤が生じることがある。特に不決断傾向のパーソナリティの場合,選択に時間がかかり,選択後はその結論が正しかったのかどうかを疑い始めるとされている(Rassin & Muris, 2005)。つまり,良い意思決定ができたという印象がもてないということが生じている。本研究では,意思決定の前に快感情が喚起されることを期待した動作の実施により,選択結果に対する印象が良くなることを仮説とし実験を行った。良い意思決定ができたと感じる指標として確信度を用い,対比する動作との比較により分析を行った。
方 法
実験参加者:大学生11名
意思決定課題:11属性10品目の多肢選択課題をマトリックス形式でPC上に提示,4問で構成された2種類をランダムに割り当て
質問紙1:9段階のリッカート尺度による感情評価(感情価,覚醒度),および印象評価(確信度,難易度,迷い)をPC上に提示
質問紙2:後悔・追求者尺度(磯辺ら, 2008)を紙面上で実施
条件:快刺激条件として背筋を伸ばす動作および,ディスプレイを目の高さに配置,不快刺激条件として,背筋を丸める動作および,ディスプレイを床に配置
手続き:実験者の口頭による教示に従って動作を実施後,意思決定課題2問に回答を求めた。数分の休憩を挟んで対比する動作で同様の手順を繰り返した。条件の順序は実験参加者間でカウンターバランスを行った。感情評価は動作前,動作後,および課題ごとにその時の気分の回答を求め,印象評価は意思決定結果に対して回答を求めた。最後に,後悔・追求者尺度に回答を求めた。本研究は早稲田大学人を対象とする研究に関する倫理審査委員会の承認を得て実施された。
結 果
感情価,および覚醒度はそれぞれ正規化を行い(表1),条件間,条件別手順間でt検定(対応あり)を行なった。その結果,感情価については動作後の条件間で有意差が認められた(t(10)= 2.32, p<.05, d=.77)。
意思決定課題に対する印象はウィルコクソン符号付順位検定の結果,確信度に有意差が認められた(p<.05, d=.74)(図1)。
後悔・追求者尺度のうち後悔尺度の結果をもとに,高傾向群(>平均+.5SD),中間群(=平均±.5SD),低傾向群(<平均-.5SD)に分類し,高傾向群と低傾向群を分析したところ,ウィルコクソン順位和検定により確信度の快刺激で高傾向群が有意に高い結果であった(p<.05, d=1.73)。また,実験参加者内条件間においても高傾向群はウィルコクソン符号付順位検定の結果,快刺激が不快刺激に比べ有意に高い結果であった(p<.05, d=2.07)。
考 察
快刺激動作により感情価が高くなり,確信度も高い結果となった。したがって,動作刺激により意思決定結果に対する印象に影響を与える可能性が示唆された。特に,後悔尺度の高傾向群が低傾向群に比べて確信度が高く,選択後に結論を疑うという傾向が軽減された可能性が考えられた。動作に対する感情評価については,先行研究(Nari et al., 2014)の姿勢が感情に与える影響と矛盾しない結果であった。一方で,不快刺激においては,快刺激と逆の傾向は部分的にみられたが,一貫した結果が認められなかったことから,刺激の再検討が必要であると考えられる。
引 用 文 献
Rassin, E. & Muris, P.(2005).Indecisiveness and the Interpretation of Ambiguous Situations,Personality and Individual differences,39,1285-1291.
磯部綾美,久冨哲兵,松井豊,宇井美代子,髙橋尚也,大庭剛司,竹村和久(2008).意思決定における“日本版後悔・追求者尺度”作成の試み,心理学研究,79(5),453-458.
Nair, S., Sagar, M., Sollers, J. III., Consedine, N. & Broadbent, E.(2014).Do Slumped and Upright Postures affect Stress Responses? - A Randomized Trial.Health Psychology, 1-10.

キーワード
意思決定/身体化認知/確信度


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