発表

1B-050

能力の自己評定・確信度・学習経験の関係

[責任発表者] 妻藤 真彦:1
1:美作大学

目 的
 妻藤(2007;2015;2017)は,他者行動記述文について意図的であった程度を推測する質問(Malle & Knobe, 1997)を用い,5点尺度の回答に関する確信度も求め,各質問項目の意図性評定の個人間平均値と,各項目における評定値と確信度の個人に渡る相関係数を計算すると,それらの(項目に渡る)相関は大半が0.9以上であった;また項目内相関がゼロになる評定平均値推定は3種の質問セットのどれも2と3の間であり,両端以外の尺度値は確信度を変換していた可能性が示唆された(妻藤, 2014)。評定対象が量的表象ではない場合(Michell,2012)があるとしても,他の量的情報で代替できるのかもしれない(妻藤,2014)。
 これらは他者行動に関する短文を読んでの評定であり,それよりは判断に関与する情報が多いと想定される質問として,妻藤(2018)は,学習経験のあるスキルに関する質問セットと,経験のないことについて想像(予想)して答える質問セットを用い,その結果は項目内評定確信相関と項目評定平均の相関がどちらの質問セットでも0.8弱であった。しかし,経験がないことについて想像して答える場合,“やったことはないが,たぶん容易に出来るだろう”という回答が多くなる項目が不足しており,項目評定値平均の分散が小さいことによって,項目内評定確信相関と項目評定平均の相関がやや小さくなった可能性がある。本稿では質問セットの質問項目を増やして,再検討を行うこと,及び評定値の項目内個人差の大きさも考慮した分析も含めることが目的である。

方 法
 回答者は学習経験ありセットが66人(回答不備2:有効数は64),経験なしセットが69人(回答不備3人,および経験あり回答14人:有効数は52)。
 “学習経験ありセットでは"英語の単語を覚える","鉄棒で逆上がりをする"など,学校や日常生活で学習経験済みと想定されることの内,難しいものから容易なものまでの広がりがあると想定されるように13項目が設定された。その下に,経験がないものがあれば,質問文の最初に〇を付けるという教示;妻藤(2018)の10項目のうち“卵を半熟にする”の経験がない人が多くいたため,"家庭科で習った簡単な料理を作る"に変更。その結果,経験なし回答がゼロになった。また "小学校で習った歌を歌う"など,学生への聴き取り予備調査に基づいて3項目を追加。
 経験なしセットは“自分の趣味に関係ある小さな店を経営する”のようなものであり,質問セットの後に,経験があるものがあれば,質問文の最初に〇を付けるという教示;妻藤(2018)では“まずできそうもない”という回答になる項目が多過ぎたため,聴き取り予備調査にもとづいて一部を変更し,また新たに3項目を追加して13項目として,できるだけ難しさと容易さの予想幅が広くなるように設定された。
 各項目の右のスケール(5点尺度)で回答され,その下に評定値に対する確信度を1から5の数字で答える。質問紙セットはA3の右側にあり,左側はフェイスシートとして,研究参加への依頼文・インフォームドコンセントの内容,また回答方法が記されていた。各セットの項目は各々2通りの異なるランダム順;2条件×2呈示順の4通りの質問紙。

結 果 と 考 察
 妻藤(2018)では評定平均3以上は10項目中2個で,2の周辺に偏っていたが,今回は3以上が13項目中5個になった。4以上は今回もなかったが,項目平均の分散は前回のセットよりかなり大きくなっていた。
 学習経験ありリストでは項目内相関と項目平均の相関は.88(図1),経験なしでは.85であり,妻藤(2018)での.75と.78よりも大きいが,妻藤(2007;2015)の,他者行動意図性評定のようなほぼ.90以上で大半は殆ど1.0に近い値よりも小さい。また,項目内相関がゼロになる評定平均値推定は各々2.84と2.68であり,5点尺度のほぼ中央に確信度の折り返し点がある。妻藤(2019)と比べて,項目の評定平均の分散を大きくすることができたので,今回の方がより良い推定値だと考えられる。これらだけを見ると学習経験の有無に拘わらず,評定値と確信度の関係は同様に見える。他方,各項目内の評定値と確信度の標準偏差(個人差)を回帰分析に投入しても学習経験ありでは有意な当てはまり改善はなかったが,経験なしでは確信度の標準偏差によるF変化量が有意であった(p=.016)。

引用文献
Malle,B.F,& Knobe,J. (1997). JESP,33,101-121.
Michell, J. (2008). Measurement, 6, 7-24
妻藤真彦(2007). 心理学研究,77,541-546.
妻藤真彦(2014). 美作大学・同短大部紀要,59,7-16.
妻藤真彦(2015). 日本心理学会79回大会発表論文集
妻藤真彦(2017).日本心理学会81回大会発表論文集
妻藤真彦(2018).日本心理学会82回大会発表論文集

キーワード
能力の自己評定/確信度/学習経験


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