発表

1B-049

画像のサムネイル化が知覚する魅力に及ぼす効果

[責任発表者] 伊藤 資浩:1,2
[連名発表者・登壇者] 山内 健司:1,2, 宮崎 由樹:3, 河原 純一郎:1
1:北海道大学, 2:日本学術振興会, 3:福山大学

目的 情報機器を利用するとき,アイコンや縮小画像(サムネイル)から必要な情報を取捨選択する機会は多い。例えば,SNSのプロフィール画像や情報サイト内の画像は検索・選択の対象となる。それらの画像の多くは元画像からサムネイル化され,ユーザー・インタフェースを向上させる。しかし,画像の大きさが印象に及ぼす効果については知られていない。本研究は,顔(男性・女性)やオブジェクト(家屋)の画像サイズが知覚される魅力に及ぼす影響について検討することを目的とした。
 予測として,サムネイル画像は元画像に比べて,知覚される魅力が平準化すると考えられる。すなわち,サムネイル化による解像度の低下は,魅力を評価する上でメリット及びデメリットとなる物理的特徴(特に,高周波成分)の情報を失わせる(例えば,Loftus & Harley, 2005)。そのために,魅力的(又は非魅力的)な顔や家屋ほどサムネイル化したとき,知覚される魅力の損失(又は利得)が大きいと予測される。ただし,そのサムネイル効果は画像の種類によって違いが生じるかもしれない。例えば,顔のような高周波成分を多く含む画像では,サムネイル化は顔魅力の知覚にネガティブに影響する可能性がある。特に,女性は化粧によって各顔部分の物理的特徴を強調する(森川,2015)ために,サムネイル化による高周波成分の情報の消失は全体的な魅力の低下に繋がるだろう。一方,そのような効果は家屋のような画一的なオブジェクトでは生じにくく,平準化のみ生じると予測した。
方法 被験者 計436名の学生が参加した(男性顔: 元画像106名,サムネイル画像60名; 女性顔:元画像133名,サムネイル画像78名; 家画像: 元画像25名,サムネイル画像34名)。
 刺激画像 顔画像データベース(Kawahara & Kitazaki, 2013)から男性726枚と女性540枚を用いた。家屋画像は,研究目的を知らない補助員が不動産情報サイトから抽出した同解像度の283枚を用いた。
 手続き 画像サイズ条件(元/サムネイル)に従って,画面上に画像が1枚ずつ呈示された。顔(家屋)画像の大きさは元画像で縦12.4度(7.9度),幅9.1度(10.5度),サムネイル画像で縦2.5度(1.6度),幅1.8度(2.1度)であった。被験者は,画像の魅力の程度を1(非魅力的)から100(魅力的)の範囲で評定スケールを用いて評価した。
結果 元画像の評価得点を基に,サムネイル化による知覚された魅力の損益(サムネイル画像の評価得点-元画像の評価得点)をプロットしたのがFigure 1である。予測に一致して,全ての画像条件において,元画像の魅力が高いほどサムネイル化による損失が大きく,魅力が低いほどサムネイル化による利得が大きかった(調整済R2s > .13, ps < .001)。


 男性顔 元画像条件で正規性はなかったが,画像サイズ条件間の分散に差はなかった(F = 1.02, p = .78)。そのために,Wilcoxonの順位和検定を行ったところ,元画像に比べてサムネイル画像で評価得点は高かった(z = 7.19, p < .001)。
 女性顔 両画像サイズ条件で正規性を確認したが,元画像に比べてサムネイル画像で分散が小さかった(F = 1.43, p < .001)。そのために,Welchのt検定を行ったところ,元画像に比べてサムネイル画像で評価得点は低かった(t = 2.79, p = .005)。
 家屋画像 両画像サイズ条件でデータの正規性が認められず,等分散でなかった(F = 1.84, p < .001)。そのために,Wilcoxonの順位和検定を行ったところ,画像の大きさによって魅力は変わらなかった(z = -0.75, p = .45)。
考察 本研究は,顔画像(男性・女性)やオブジェクト画像(家屋)の大きさが知覚される魅力に及ぼす影響を検証した。その結果,全ての画像の種類において,画像のサムネイル化は知覚する魅力を平準化させた。すなわち,元々の魅力が高い(低い)画像ほどサムネイル化によって魅力が低下(向上)した。これは,サムネイル化による解像度の低下が,魅力を判断するうえでメリット及びデメリットとなる特徴的な手がかりを消失させたことを反映している。
 ただし,画像の種類によって,画像のサムネイル化は知覚する魅力に異なる影響を及ぼした。具体的には,男性顔ではサムネイル化が知覚する魅力を向上させ,特に元々の魅力が低い及び中程度の顔は元条件に比べてサムネイル条件で魅力的に評価されやすかった。また女性顔では予測に一致して,サムネイル化が知覚する魅力を低下させ,特に元々の魅力が中程度・高い顔は元条件に比べてサムネイル条件で非魅力的に評価されやすかった。一方,家屋画像において,サムネイル化が全体的な魅力を増減させることはなく,平準化のみ生じた。これらの効果の違いとして,画像に含まれる空間周波数特性の違いや顔魅力に関する被評価者の男女差(三枝, 2015)の影響があると考えられる。以上より,本研究は画像のサムネイル化が知覚する魅力を平準化させるが,画像の特徴によって全体的な魅力は増減あるいは変わらないことを明らかにした。

キーワード
サムネイル効果/外見的魅力/空間周波数


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