発表

1A-051

心理テストにおける描画と描き手の類似性
バウムテストと風景構成法からの検討

[責任発表者] 植月 美希:1
[連名発表者・登壇者] 木村 美佐子:2
1:青山学院女子短期大学, 2:函館短期大学

目的
 ペット(犬)と飼い主(Nakajima, 2013; Roy & Christenfeld, 2004),人形と作り手(木村・植月, 2012)の間には類似性が認められる。飼い主と犬は目の領域が似ていることが示唆されているが(Nakajima, 2013),人形については必ずしも顔が類似しているわけではないことが示唆されている(木村・植月, 2014)。ところで,心理アセスメントの場面では,被検者の心理的な状態やパーソナリティが描画に投影されると考えられ,バウム(樹木画)テストや風景構成法といった投影法の描画テストが広く用いられている。人形と同様に,描き手と描画(作品)の類似性が高いことが予測されることから,本研究でこの点を検討した。

実験1
【目的】バウムテストにおける描画において,描き手が木に自分らしさを投影しているのかを検討した。
【実験参加者】実験参加者は東京都・愛知県内短期大学・大学生118名(全て女性;平均年齢19.1±3.2歳)であった。
【刺激】北海道内の短期大学生35名(女性32名,男性3名)に対し,講義内で「1本の実のなる木をできるだけ十分に描いてください」と教示し,A4用紙に黒サインペンで描画を求め,他の描画も完成させた30名の描画を使用した。作り手の写真は約24×24mm,樹木画は約18×26mmであった(図1;図の刺激写真は協力者の同意を得て掲載。以下同様)。
【手続き】描き手-樹木画の正しいペア群と,誤ったペア群(各15ペア)から,正しいと思うペア群を二肢強制選択法で回答させた。実験の所要時間は約5分であった。
【結果と考察】描き手と樹木画の正しいペアの写真群を選択した者の割合は55.9%であり,正答者数と誤答者数に有意な差は見られず(n.s.),描き手と樹木画の類似性が高いとは認められなかった。

実験2
【目的】風景構成法における描画に,描き手が自分らしさを投影しているのかを検討した。
【実験参加者と方法】実験参加者は東京都・愛知県内の短期大学・大学生119名(全て女性;平均年齢18.8±0.8歳)であった。手続きは実験1と同様であった。
【刺激】実験1と同じ描き手に対して,おおむね佐々木(2012, p.14)の標準的な手順に従いA4用紙に黒サインペンで描画を求めた(個別実施)。質問紙の風景画は約17 × 11 mmであった(図2)。
【結果と考察】描き手-風景画の正しいペア群を選択した者の割合は60.5%で,正答者が有意に多かった(p < .05)。必ずしも顔が描かれるわけではない風景画にも,描き手らしさが投影されていると考えられる。

総合考察
 バウムテストでは描き手と描画のマッチングが困難であったが,風景構成法ではマッチングが可能な者が多かった。これは,描画がマンガチックで比較的ワンパターンであったバウムテストに対し,風景画では絵のバリエーションの幅が広く,風景画に表れた描き手らしさにも差があったため,風景構成法では描画と描き手のマッチングが比較的容易であった可能性が考えられる。なお,必ずしも顔がない風景画でも人形と同様にマッチングが可能であったことから,作り手と作品の類似性は顔の構成要素に限らないことが再度確認された。

引用文献
木村美佐子・植月美希 (2014). 人形と作り手はどこが似て
 いる? 日本心理学会第78回大会
木村美佐子・植月美希 (2012). 人形は作り手に似ている?
 日本心理学会第76回大会
Nakajima, S. (2013). Dogs and owners resemble each
 other in the eye region. Anthorozoös, 26, 551−556.
Roy, M.M. & Christenfeld, N.J.S. (2004). Do dogs
 resemble their owners? Psychological Science, 15,
 361−363.
佐々木玲仁 (2012). 風景構成法のしくみ. 創元社

キーワード
類似性/描画/心理アセスメント


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