発表

2C-031

対応型視野闘争による両眼立体視の消失

[責任発表者] 長谷川 洋輔:1
[連名発表者・登壇者] 鬢櫛 一夫:1
1:中京大学

 目的
 視野闘争のなかでも,視角の小さい眼間直交線分などによって生じる闘争を対応型視野闘争と呼ぶ。対応型とは,方位は異なるが刺激の大きさや網膜位置が同等など,ある特徴は異なるがその他の特徴は一致している場合に単眼像の累積消失時間が増加することを意味する。両眼視において対応とは,立体視するための左右眼刺激の結びつきであり,その強度(水平視差量)に応じて立体視の成立強度は変化する。本研究では,対応型視野闘争による両眼立体視の消失について,対応づけの観点から検討する。立体視と闘争の対応づけが同じ処理であるならば,立体視のように水平視差を付与することで闘争強度は減少し,また立体視の視差量を一定にした上で対応型闘争を多重対応するように導入した場合,両眼対応間で相互抑制し,立体視の成立強度は低下すると予測される。
 方法
刺激 白の刺激提示領域は5°の正方形であり,中央部から右下1°の位置に青十字(長さ21.6',幅7.2')の視差ゼロの固視点を設けた。左眼提示刺激として提示領域中央部に測定対象となる黒の検査線分を置き,その大きさは高さ42.0',幅7.2'とした。右眼提示刺激として,立体視の消失時間が約5sとなる水平視差(B, Kは12.6', Hは8.4'で一定)の統制線分と,先行実験において検査線分の累積消失時間が最長となった検査線分の外側へ垂直視差10.8'の端点を置いた。端点の水平視差を操作し,検査線分に対して-42.0', -25.2', -12.6', -8.4', 0.0', 8.4', 12.6', 25.2'とした(負は交差視差)。検査線分は反対眼の統制線分と立体視でき,同時に垂直視差のある端点と闘争もしうる(図1)。
被験者・装置 3名(BとHは著者)が実験に参加した。被験者は実験に支障のない視力・矯正視力,立体視能力を有し,両眼視実験経験者であった。実験制御にはMacBook Pro,刺激提示にはLCDを,反応取得にはキーボードを用いた。両眼分離提示には反射式ステレオスコープを用いた。観察距離は約57cmで,被験者は顎台にて固定された。
手続き 先行して立体視刺激と固視点を提示し,立体視した時点から試行開始キーで観察を開始した。開始と同時に右眼には端点が提示される。観察時間は30秒で,観察後は最低30秒の休憩を挟んだ。観察中に線分の奥行き感が消失している間は反応キーを押し続けるよう被験者に求め,これにより立体視の累積消失時間を測定した。また,先行提示中・観察中は固視点を固視させた。各刺激条件を9回繰り返し測定し,刺激の提示順序はランダムであった。
 結果
 立体視の累積消失時間の条件ごとの個人データを図2上に示す。非交差方向では闘争刺激の水平視差の増加に従って累積消失時間は減少したが,交差方向ではB, Kは視差-12.6'において累積消失時間は最大値となり(図2下),そこから水平視差の増加に従い減少した。この視差条件は右眼提示刺激において端点と統制線分が垂直線上に並ぶ配置である。Hにおいて直線上に並ぶ配置は-8.4'条件であるが,累積消失時間の最大値は0.0'条件でとられた。
 考察
 まず,0.0'条件において立体視の抑制効果が示された点を強調する。この結果は対応型闘争によって立体視が阻害されることを示す。次に,最も立体視の抑制効果が強かった端点と統制線分の直線配置は,闘争強度が最大となる条件で立体視の抑制が最大になるという予測に反する。この抑制効果は両眼対応の相互抑制ではなく,端点と線分がひとつの長い線分として捉えられた線分対線分の大きさの視差による対応強度の直接的低下が原因と考えられる。別の意味では,右眼提示刺激がまとめて検査線分と対応づけされたことで,端点対検査線分の対応づけが取られにくかったとも言える。また,闘争による立体視の消失現象の測定だけではその原因が,闘争した単眼基礎(Mr/Ml)の抑制による対応の消失か,闘争性両眼ユニット(RB)と立体視性両眼ユニット(SB)の相互抑制か区別できない。しかし,今回のように刺激配置によって端点が特異的に対応づけされるとは考え難く,闘争刺激として機能する間にも端点は検査刺激と両眼対応をとっており,立体視性両眼ユニットと相互抑制したという説明は妥当であろう。

キーワード
視野闘争/両眼立体視/両眼対応


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