発表

2B-042

色彩を用いた生活者の感情分析
色彩によるイメージの表現手法Aroma Rainbow®の応用

[責任発表者] 野尻 健介:1
[連名発表者・登壇者] 大森 雄一郎#:1, 高久 寛康#:1, 上村 隆信#:1, 中村 明朗#:1, 前田 知子#:1, 黒林 淑子#:1
1:長谷川香料

【目的】 
 ライフスタイルが多様化する中,生活者の感情に呼応する商品開発はますます困難になっている。生活者の感情を知る手段として様々な調査手法があるが,それら多くは言葉によるコミュニケーションに依存している。言葉は便利なコミュニケーション手段であるが意味解釈の「ずれ」が生じやすく,調査結果を直感的に解釈することは難しいという欠点がある。そこで本研究では,イメージを色を用いて直感的に表現する手法としてAroma Rainbow®を開発した(1)。先行文献では,感情用語に対して調和する色を選択した結果,各感情は特徴的な色で表現できることが示唆されている(2)。また香りのイメージから選択された色の明度と香りの嗜好に高い相関も見出されている(3)。このように色は調査協力者の感情表現手段としての可能性を秘めている。さらに色で表現することで,調査結果の視認性や伝達性を高めることも期待できる。本調査では特定のシーンにおける生活者の感情を言葉と色で表現することを試みた。商品開発における生活者とのコミュニケーションを深めるツールとして,この「言葉」と「色」を用いた調査手法の有用性を明らかにすることが本研究の目的である。
【方法】
 [調査方法]WEB調査 [調査協力者]312名:色覚に異常はないと申告した就労者,年齢20代~70代 [調査内容]調査協力者が日常の8つのシーンにおいて感じる感情を15の感情用語から複数選択により回答した。またそれぞれのシーンで感じる感情を色票(Figure 1)から1色選択し,Aroma Rainbow®により表現した。 [シーン] 8シーン:寝起き,通勤中,朝食,仕事中(午前),昼食,仕事中(午後),夕食,就寝前 [感情用語] 15用語:緊張,リラックス,不安,安心,自信がない,自信がみなぎる,憂鬱,活力がある,疲労感がある,元気,不機嫌,機嫌がいい,混乱している,落ち着いている,その他 
【結果】 
 30~40代女性74名の結果を示す。「寝起き」および「昼食」のシーンに特徴的であった感情をFigure 2に示した。「寝起き」では憂鬱,不機嫌,疲労感があると回答した調査協力者が多かった。「昼食」では寝起きに特徴的な感情は少数派となり,リラックスして機嫌がいいという回答が多くなった。Figure 3には感情から選択された色をAroma Rainbow®で表現した。「寝起き」では全体的に淡い色の選択比率が高く,色相では青色が最も選択された。「昼食」では淡い色に加えて鮮やかな色も選択された。また寝起きと比較して暖色系の色が多く選択された。
【考察】 
 感情用語の選択比率の違いによりAroma Rainbow®の色パターンに違いが認められたことから,感情の違いは選択される色の違いとして表現されると考えられる。このように「言葉」と「色」を併用することで,感情を色情報として視認することが可能となり,他者への伝達も容易になると推察される。また「言葉」と「色」の両面から調査結果を考察することが可能となり,結果に対して深い洞察を得ることが容易になると思われる。よって生活者とのコミュニケーションを深めるツールとして本調査手法は有用であると考えられる。
【参考文献】
 1. 野尻健介・銭夢寧・中村充志・中村明朗・中村哲也・
  斉藤司(2018). 色彩を用いた香り表現の検討
  ~Aroma Rainbow®の開発と応用~
  日本色彩学会誌, 42, 3, Supplement 209-212
 2. Gilbert A. N., Fridlund A. J., Lucchina L. A.
 (2016) The color of emotion: A metric for
  implicit color associations. Food Quality and
  Preference
, 52, 203–210
 3.妹尾正巳・元永千穂(2008). 香りイメージの色表現に
 よる伝達 日本感性工学会研究論文集, 7, 497-503

キーワード
色/感情/生活者


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