発表

1D-042

食材色における「味覚イメージ」の文化的相違

[責任発表者] 今井 裕子:1
[連名発表者・登壇者] 川端 康弘:1
1:北海道大学

目 的
 我々は,食品の配色と「美味しさ感」に関して,日本,中国,ラオスの3国間でどの様な違いがあるかを研究してきた。
 今回の研究では,食材の配色が「味覚イメージ」にどの様な国差(文化差,気候差,風土差)があるか,に対する研究を行っている。今回はソース色について,日本・中国・ラオスでの比較を行った。
 「味覚」は舌の表面にある乳頭の味蕾により甘味,酸味,苦味,塩味,旨味を知覚する受容体からの情報を脳で処理し美味しいとか美味しくないとかを判断すると考えられている。
「美味しさ感」の研究の中で日本人は,形状より,色に関しての影響を他国より受けている傾向があることが前回の研究から示唆されたが,では,具体的に食材色からどの様な味覚をイメージしているのか?どの様な差があるのか?どの様な文化的背景が影響しているのか?を研究することにした。
近年,実際には人体に悪影響を及ぼすのであろう添加物を混入した食品も多く出回っており,面白さやユニークさのみが先行した映像がSNSやインスタ等で,競って投稿されている事が目立つが,実際食選択は,人間の生活習慣,病,性格など様々なものと密接な関係を作り出しているので,面白さやユニークさのみが先行しすぎて,人体の健康に悪影響を及ぼさない様な商品開発などに役立てたいと考える。

方 法
参加者 平均年齢21.4歳の学生から成人262名(男性133名,女性129名)が参加した。そのうち日本人130名,中国人55名,ラオス人77名であった。

刺激 三種の味のソースをベースに,青・赤・黄・白・黒・緑の食用色素で着色した。(黄色,白の着色が不可の食材は茶色とした。)計18種(7色)を作成し,撮影した写真画像を使用した。

手順 18種類のソース画像を見て,どの様な味(甘味・酸味・苦味・辛味・塩味・その他)が全体を100%とした場合それぞれ何%くらい含まれているか?合計で100になるように,質問紙に記入してもらった。

結 果
 どの様な味が含まれているか,日本人・中国人・ラオス人の割合を図1で示す。6味(甘・酸・苦・辛・塩・他)・7色(青・赤・黄・白・黒・緑・茶)・18種(S1~S18),性別(男・女)と国別(日本・中国・ラオス)による分散分析を行った。
 S1青ソースでは,味に主効果が認められた[F(5,1571)=39.3036,p<.001]。味と国別[F(10,1571)=29.3413,p<.001],味と性別[F(5,1571)=2.9838,p=0.011]。
国・性別・味においては交互作用が認められたため,下位検定を行った。S1青ソースにおいては,甘味・苦味・辛味に関して国差があり,ラオスは日本,中国より甘味を強く感じて

おり,苦味に関してはラオスより日本,中国が強く感じている。甘味に関して男女差があり[F(1,256)=7.0695,p=0.0083]で男性の方が女性より甘いと感じており,苦味に関して有意傾向[F(1,256)=3.7322,p=0.0545]が認められ女性の方が強く感じている。
考 察
今回の研究によって,日本,中国では青色=苦味(毒性)と評価しているのに対し,青色=甘味というラオスの結果を考えると,医学をはじめ,栄養学,生理心理学や様々な面での教育が味覚に影響するのではないかと考えられる。なぜなら,教育環境が十分整備されていないラオスでは,インターネット等の情報のみが先行しており,面白さや好奇心のみでの評価が目立ち,日本ではあまり販売されていない色のお菓子などが作られ,店頭に並んでいる。日本の様に食品のガイドラインが十分定まっておらず,また中国の薬膳学の様な知識に基づいた理論も無く,高カロリー高脂質=健康と考えられていた時代の日本と同様な傾向に感じる。
風土や気候などもっと様々な側面もあるが,色彩の心理学や栄養学などの必要性をラオスにも提案する必要があるのではないか?と考える。

引用文献
今井裕子・川端康弘(2018),食品配色における「美味しさ感」
 の文化的相違,日本心理学会第82回大会発表論文集, 569
Zellner DA(2014), It tastes as good as it looks! The effect of food presentation on liking for the flavor of food Appetite77,31-35.

キーワード
食品の色/食品の味覚/異文化比較


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