発表

2C-027

嫌悪・恐怖感情を喚起する画像刺激の検討

[責任発表者] 三輪 恵介:1
[連名発表者・登壇者] 大平 英樹:1
1:名古屋大学

問題と目的
 心理学実験において,情動の操作にIAPS(Lang et al, 1997)やNAPS(Marchewka et al, 2014)が使われる。画像の選定時,主観的な評定法に基づいた情動カテゴリーから刺激を選ぶことが多い。嫌悪と恐怖を引き起こす対象は重複することが知られている(Sara et al, 2018)。しかし情動ごとに生理反応は同じものもあれば異なるものもある。例えば,嫌悪が喚起されると心臓活動が抑制されるが,恐怖が喚起されると心臓活動の活性化がみられる,皮膚コンダクタンス反応(SCR)はともに増加する (Sylvia, 2010)。そこで本研究では,これらの性質を利用してNAPSの画像提示を行った際の生理学的データから嫌悪および恐怖の刺激画像セットの作成を目的とする。

方法
参加者 愛知県内の大学生20名(男性13名女性7名,20±1.05)が実験に参加した。
刺激 NAPSから,先行研究(Riegel et al, 2016)で嫌悪あるいは恐怖のラベルがついている画像および筆者により,合計210枚を抽出した。その中から,乱数を用いて70枚を抽出し実験刺激とした。またニュートラル画像から乱数を用いて35枚抽出を行った。実験では全部で105枚の画像を使用した。画像はランダムに提示された。
評定方法 覚醒度および感情価は,SAM(Lang et al, 2008)を画面上部に配置し,VAS法を画面下部に配置をし,VAS法で評定が行われた。また画像の情動評価を行うために,「恐怖」「嫌悪」「どちらでもない」の3択による強制選択法を使用した。
生理学的指標 BIOPAC-MP150を使用して,心拍数および皮膚電位の測定を行った。HRおよびSCRは画像提示中10秒間を対象に分析を行った。HRは【画像提示時の平均HRから安静時の平均HRを除したもの】を変化率として, SCRは【反応頂点時の抵抗から反応立ち上がり時点の抵抗を除したもの】を使用した。
手続き 3分間の安静後に実験を行った。5秒間の中視点を表示したのち画像を10秒間提示した。その後,覚醒度,感情価についてマウスを用いてVAS法で評定を行った。最後に強制選択により画像の性質について尋ねた。それぞれ回答時間は最大20秒設けられ,20秒以内に回答が得られなかったら質問が移行するように設定した。この流れを1試行として,1回あたり35試行を3回繰り返した。うち5分間の休憩を2回とった。実験は全体で約90分を要した。

結果と考察
はじめに,感情価・覚醒度について,公開データとの相関を算出したところ,感情価は有意な中程度の負の相関(r=-.595, p<.01)が見られたが,覚醒度は無相関であった(r=.22,p<.10)。画像のカテゴリーを定めるために,主観的評定に対してカイ2乗検定を行い,画像のカテゴリーを定めた。有意になった画像は41/70枚であった。このカテゴリーを利用し,覚醒度・感情価の平均値の差について分散分析をおこなった結果,覚醒度(F(2,2091)=291.601, p<.001),感情価(F(2,2097)=151.942, p<001)はともに有意であった。そこで多重比較の結果,覚醒度・感情価ともにすべての群間に有意差がみられた。主観的カテゴリー間において,HR変化率,SCR変化率に差があるのかどうか調べるために分散分析を行ったところHR(F(2, 67)=3.134, n.s.),SCR(F(2, 67)=3.134, n.s.)では差はみられなかった。そこで,HR変化が多かった人数順に再カテゴリー化を行った。そのカテゴリーを用いて感情価・覚醒度ついて分散分析を行ったところ,感情価(F(2,67)=3.593, p<.05),感情価(F(2,67)=1.950, n.s.)となった。感情価において多重比較を行った結果,「嫌悪」と「どちらでもない」の間のみ有意差がみられた。再カテゴリー化により恐怖刺激の枚数が減ったことが原因に考えられる。さらに複数の画像を用いて再度調査を行う必要がある。

キーワード
嫌悪/恐怖


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