発表

3B-034

「中間期」における大学生の不登校傾向と心理社会的要因との関連

[責任発表者] 堀 匡:1
1:中部大学

目 的

 鶴田(2001)によると,大学生活ライフサイクルの中で,大学2年生から3年生にかけての時期は「中間期」と位置付けられ,自分らしい大学生活が展開される反面,中だるみ状態に陥る危険性があるとされる。そして,その影響として,無気力や意欲低下の問題が生じやすい。そこで,本研究では,大学2,3年生を対象に,無気力・意欲低下の一般的な現象である不登校傾向に焦点を当て,関連する心理社会的要因について検討することを目的とする。

方 法

 調査対象 X県内の4年制大学であるA大学とB女子大学において,筆者が担当している2,3年生対象の心理学系専門科目の受講生を対象に質問紙調査を実施した。調査は,後期開始から約3か月経過した2018 年12月下旬に行った。調査への協力の同意が得られた学生のうち,回答に不備のあったものを除外した173名(男性53名,女性120名)を分析対象とした。
 調査項目 (a)大学生活上のストレッサー 嶋(1999)の大学生用日常生活ストレッサー尺度の短縮版を使用した(23項目,5件法)。最近3か月間のストレス経験と気になった程度をたずねた。 本尺度は,「自己に関するストレッサー」,「対人関係に関するストレッサー」,「学業に関するストレッサー」,「身体に関するストレッサー」の4下位尺度が設けられている。(b)ソーシャルサポート 福岡(1997)の尺度を使用した(9項目,5件法)。サポート源として,学内の友人を設定した。(c)大学生活満足度 「授業や学習内容」,「友人関係」,「大学生活全般」についてそれぞれどの程度満足しているか5件法により評定し,合計得点を用いた。(e)ストレス反応 SRS-18(鈴木・嶋田・三浦・片柳・右馬埜・坂野(1997)を用いた(18項目,4件法)。全項目の合計得点を使用した。(f) 不登校傾向 堀井(2013)の大学生不登校傾向尺度を使用した(12項目,7件法)。本尺度は,「回避感情」と「回避行動」の2下位尺度から構成される。

結 果

はじめに,学年間で各変数について比較したところ(t検定),いずれにおいても有意な差は認められなかった。
 次に,各大学生活上のストレッサーと学内友人サポートがが,大学生活満足度やストレス反応を介して登校回避感情と関連を持ち,さらに登校回避感情が登校回避行動と関連を有するというモデルを設定した。同時に,各変数は直接登校回避感情や回避行動と関連を有するというパスも想定し,構造方程式モデリングに基づくパス解析を行った。なお,各ストレッサー間および,対人関係に関するストレッサーと友人サポートの間には相関がみられたため,共分散のパスを仮定した。また,大学生活満足度とストレス反応の誤差変数間にも共分散のパスを仮定した。最終的に,統計的に有意なパスのみを残した(Figure1)。モデルの適合度は,GFI=.969, AGFI=.927,RMSEA=.041であり,データとモデルとの適合は良好であると言える。
 ストレッサーに関しては,自己に関するストレッサーが,大学生活満足度と負の関連を有し(β=-.23),ストレス反応と正の関連(β=.50)を有した。また,対人関係に関するストレッサーは,ストレス反応と正の関連(β=.29)を有した。学業に関するストレッサーは,直接登校回避感情と正の関連(β=.20)を有した。一方,学内友人サポートは,大学生活満足度とのみ正の関連(β=.57)を有した。さらに,大学生活満足度は登校回避感情(β=-.29)や登校回避行動(β=-.15)と負の関連を有していた。一方,ストレス反応は登校回避感情とのみ正の関連(β=.26)を有していた。登校回避感情は登校回避行動と正の関連(β=.41)を有した。

考 察

 分析結果から,学業に関するストレッサーを強く体験することは,登校への回避感情を高め,登校回避行動を引き起こす可能性があることが示唆された。一方,学内友人サポートの多さは,大学生活満足度を高めることを介して,登校回避感情や登校回避行動を低減しうる可能性が示唆された。これらの結果は,新入生を対象とした堀(2019)において1年次後期から見られた結果と共通するものであった。
 また,本研究では,自己に関するストレッサーや対人関係に関するストレッサーを強く体験することが,大学生活の満足感の低減,もしくはストレス反応を高めることを介し,登校回避感情を高め,登校回避行動を引き起こしうることも示唆された。これらは,堀(2019)とは異なる結果であり,中間期に特徴的な不登校傾向と心理社会的要因との関連であると考えられる。

キーワード
大学2,3年生/不登校傾向/心理社会的要因


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