発表

2B-031

新人看護師における反すう・自動思考がバーンアウトに及ぼす影響

[責任発表者] 松本 美涼:1,2
[連名発表者・登壇者] 重松 潤:1,2, 神原 広平:1, 田辺 紗矢佳#:2, 南 花枝#:2, 町野 彰彦#:2, 濱咲 真理子#:2, 神田 弘子#:2, 竹林 実#:2,3, 尾形 明子:1
1:広島大学, 2:国立病院機構 呉医療センター・中国がんセンター, 3:熊本大学

問題
 近年,新人看護師の離職が問題となっている(日本看護協会,2015)。新人看護師の離職に関わる要因としてバーンアウトがある。バーンアウトとは,“心的エネルギーが絶えず過度に要求された結果,情緒的消耗感,脱人格化,および個人的達成感の減退をともなう症候群”である(Maslach & Jackson, 1981)。バーンアウトに陥った結果,患者に対する共感的関わりおよび業務での達成感の減少が生じ,離職や医療事故といった問題を引き起こすと考えられている(北岡他,2005)。
 重松他(2019)は,看護学生のバーンアウトの発症要因だけでなく,バーンアウトを持続・重症化させる要因について検討している。その結果,反すうによってネガティブな自動思考が増加し,バーンアウトが増強されることを示し,看護学生のバーンアウト予防には,反すうや自動思考といった認知的要因に対するアプローチが有効である可能性を示唆している。
 そこで,本研究では,重松他(2019)の知見が新人看護師においても援用可能であるのか検討することを目的とする。具体的には,反すうはネガティブな自動思考を促進し,バーンアウトを強めるという仮説を検証する。新人看護師における反すうと自動思考,バーンアウトの関連を明らかにすることで,看護学生と新人看護師のバーンアウトに陥る機序の比較や介入対象の特徴にあった予防介入プログラムの提案につながると考えられる。
方法
調査対象者:調査対象者はA県内のB総合病院に勤務する勤務年数3年以内の新人看護師85名(男性7名,女性73名,不明5名,平均年齢=23.62)であった。対象者の年齢は,21歳から22歳が26名,23歳から24歳が45名,25歳から29歳が6名,30代以上が3名,不明が5名であった。
尺度: (1) バーンアウト:日本語版バーンアウト尺度(久保,2004) 全17項目,5件法。「情緒的消耗感」「脱人格化」「個人的達成感」の三つの因子が測定される。なお,個人的達成感は逆転して処理される。(2) ネガティブな自動思考:ATQ-R(Automatic Thoughts Questionnaire- Revised)短縮版(大植他,2012)の「将来に対する否定的評価」と「自己に対する非難」の2因子。全12項目,5件法。(3)反すう:日本語版Cambridge-Exeter Repetitive thought Scale(神原他,2018)の抽象的・分析的思考。全6項目,4件法。
実施手続き:B病院で行われた年度末の振り返り研修およびプリセプター研修の時間を利用し,研究の目的や倫理的配慮について説明を行い,質問紙への回答をもって研究への同意とするということを伝え,質問紙を配布し,後日質問紙の回収を行った。
倫理的配慮:B病院の倫理審査委員会に研究計画書を提出し,承認を得たのちに実施した。調査対象者には研究の目的について説明し,自由意思で調査に参加でき強制されることはないこと,いつでも調査を中断できること,収集したデータを数値化し,個人が特定できないようにすることを説明した。
結果
 基本統計量と相関係数をTable 1に示す。
 次に,仮説モデルを検討するために,共分散構造分析を用いたパス解析を行った。分析の結果,仮説モデルの当てはまりはよくなかった(GFI=.95,AGFI=.84,RMSEA=.27)。共分散構造法分析によって得られたモデルをFigure 1に示す。
考察
 本研究の結果より,新人看護師において,反すうがネガティブな自動思考を促進し,バーンアウトを強めるという仮説モデルの当てはまりはよくないことが示された。このことから,看護学生と新人看護師のバーンアウトに陥る機序は異なる可能性があることが示唆された。塚本他(2008)は,新人看護師は,看護師としての実践能力の不足や時間内に業務が終えられないなど様々な問題に直面することを示し,新人看護師の離職防止には問題を解決可能な具体的なレベルで捉えられる能力獲得のための支援が必要であることを示唆している。新人看護師がバーンアウトに陥る機序や効果的な予防介入の提案を検討するためには,就業中に生じる様々な問題を解決する能力に着目する必要があると考えられる。

キーワード
反すう/自動思考/バーンアウト


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