発表

1D-033

現代に即したDaily Hassles尺度の作成

[責任発表者] 長尾 紗季:1
[連名発表者・登壇者] 石川 健介:1
1:金沢工業大学

目 的
 Daily Hassles(以下,DHと略)は,日常的に誰もが頻繁に経験する些細な出来事である(外山・桜井, 1999)。DHは,ライフイベント以上に心身の健康状態に影響を与えることで注目されている(Lazarus & Folkman, 1984 本明・春木・織田訳1991)。中野(2005)は,大学生を対象にこのDHを測定する学生用ハッスルスケールを開発している。DHは人を取り巻く社会状況の変化に影響され変化していくと考えられる。そのため,現在の社会状況におけるDHを測定するためには,新しいDH尺度を作成する必要があると考えられる。本研究の目的は,新DH尺度の作成と,尺度の信頼性・妥当性を検討することである。
方 法
予備調査 大学生の2・3年生の男性19名,女性16名の計35名であった。実施前に調査の説明を行い,同意を得られた上で実施した。質問紙の内容は,最近起こった些細であっても嫌だった出来事を自由記述させ,その出来事の経験頻度を3段階で評価させた。次に,学生用ハッスルスケール(中野, 2005:以下,SHと略)を4段階で評価させた。自由記述で得られたデータを24項目,5つ(対人関係,アルバイト,環境,大学生活,SNS)のカテゴリーに分類した。各項目の経験頻度から百分率を算出し50%以下の項目などを除いた。原案は,自由記述から19項目,SHから表現を変更の上3項目の計22項目となった。
本調査 1~3年生の男性72名,女性38名の計110名であった。予備調査で得られた原案と日本語版HSCL(中野, 2005:以下,HSCLと略)を実施した。原案の各項目について,この1ヶ月間における経験頻度と嫌悪性を4段階で評価させた。嫌悪性は外山・桜井(1999)を参考した。HSCLは54項目で構成され,4段階で評価させる質問紙である。下位症状は5つ(心身症状,強迫症状,対人関係過敏症状,不安症状,抑うつ症状)である。書面で同意を得た後,予備調査と同様の流れで調査を実施した。
結 果
 原案の因子構造を確認するため,経験頻度と嫌悪性を乗じた値(DH値)を算出し,因子分析を行った。その結果,スクリ―プロットから2因子構造が最適だと判断した。因子負荷量が0.3未満の2項目を除き,再度プロマックス回転による因子分析を行った。因子1は,「大学生活に関するDH」とした。因子2は,「日常生活に関するDH」とした。このように作成した原案を新ハッスル尺度(以下,新DH尺度と略)とした。経験頻度と嫌悪性の記述統計をTable 1に,因子負荷量をTable 2に示した。
 妥当性の検証として新DH尺度とHSCLの各下位尺度で相関分析を行った。その結果を,Table 3に示す。相関係数が全て.40以上となり,中程度の相関があることが示された。信頼性の検証として各因子のCronbachのα係数を算出した。この結果α=.81,α=.82となり,ある程度の信頼性・妥当性が認められ,新DH尺度はDH尺度として問題がないと考えられる。
考 察
 新DH尺度は20項目で構成され,大学生活と日常生活に関するDHの2因子構造となった。その内17項目は自由記述で得られたため,現代的なDHを多く取り入れたと考えられる。妥当性と信頼性の検証を行ったところ,どちらもある程度の妥当性・信頼性が認められた。上記の内容より,尺度の作成という点は概ね達成できたと考えられる。今後は,項目内容や表現について検討を行っていく。
主な引用文献
中野敬子(2005).ストレス・マネジメント入門-自己診断と 対処法を学ぶ- 金剛出版
外山美樹・桜井茂男(1999).大学生における日常的出来事と 健康状態の関係-ポジティブな日常的出来事の影響を中心 に- 教育心理学研究,47,374-382.

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