発表

1D-031

インターネット依存傾向タイプは中高生のスマートフォン利用を予測するか?
質問紙とログデータによる検証

[責任発表者] 浜村 俊傑:1
[連名発表者・登壇者] 本庄 勝#:1, 黒川 雅幸:2, 三島 浩路#:3, 小西 達也#:1, 永田 雅俊#:1, 米山 暁夫#:1
1:KDDI総合研究所 教育・医療ICTグループ, 2:愛知教育大学, 3:中部大学

問題と目的スマートフォン(以下スマホ)の普及に伴い,インターネットを通じて情報へのアクセスや他者との交流が容易になっている一方で,生活に何らかの支障をきたす過度な使用が近年深刻になっている。内閣府(2019)の平成30年度の調査によると,青少年のインターネットの利用はスマホでの割合が67.4%に上り,4時間以上の利用は約25%を占めている。過度なスマホの使用の問題の一つにその機器を通じてインターネット依存,ゲーム依存,ギャンブル依存などの行動嗜癖に発展することである(Panova & Carbonell, 2018)。その他にも問題的なスマホの使用は抑うつや不安との関連があることが既に明らかになっている(Elhai et al., 2017)。スマホの利用自体に着目しそれに繋がる問題や病理を検証することは重要であると考えられる。問題的スマホの使用の要因は様々であることから尺度の開発が進んでいるが,依存傾向タイプがスマホのどのコンテンツと関連があるかを明らかにしスマホを介して発展する依存過程を明らかにする必要がある。特に使用者の自己報告ではなく実際の行動データを用いた検証は不十分である。そこで本研究では,思春期におけるスマホ利用は依存傾向タイプによって予測されるかを明らかにすることを目的とした。
方法手続き:本研究のデータは異なるプロジェクトの一部を利用した。調査会社に依頼して研究協力者を募った。2019年2月15日から18日の間に質問紙による依存傾向タイプを測定し,2019年3月11日から24日までの間,協力者にアプリケーション(以下アプリ)をインストールしてもらいスマホ利用ログデータを測定した。
研究協力者:Androidの携帯電話を利用している250名(女性150名)の未成年を対象とした。117名が中学校,126名が高等学校,7名が高等専門学校の学生であった。185名は保護者を通じて,65名は本人が直接研究協力に応募した。
指標:(1)依存傾向タイプを測定するためにインターネット依存傾向尺度短縮版(公開準備中)を用いた。5件法(1=全くない,5=いつもある)44項目から成り立ち,下位尺度は「情緒」「統制不全」「スマホ誘因」「承認欲求」に分類される。(2)スマホ利用時間を測定するため,筆者らが開発したアプリを通じて研究協力者の使用時間のログデータを測定した。さらに「SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)」アプリ,「ゲーム」アプリ,動画やマンガなど「娯楽」アプリの利用時間をGoogle Playが公開している類を基準に抽出した。(3)年齢と性別を協力者の属性として回答してもらった。
統計分析:2月に測定したインターネット依存傾向タイプと3月に測定したスマホの利用時間の相関を検証した。データ解析にはR 3.6.0 (R Core Team, 2019)を用いた。

結果データ・スクリーニング:高等専門学校の学生7名および3割以上の1日のログデータを取得できなかった8名を分析から除外した。残りの欠損値は多重代入法を用いて補正した。ログデータのうち,「SNS」および「娯楽」時間は平方根に,「ゲーム」時間は対数に変換して分析を行った。
利用時間:男女差に有意差は認められず,t(184)=-1.13, p=.26,学年と間に小程度の相関が確認された,ρ=.15, p=.02。
スマホ利用時間:記述統計と依存タイプとの相関分析の結果をTable 1に示す。スマホ依存「承認欲求」因子は「ゲーム」および「娯楽」アプリと小程度の負の相関が示された,ρ=-.15, p<.05, ρ=-.21, p<.001。
考察本研究は,インターネット依存タイプは中高生のスマホ利用時間のログデータを予測するかを検証した。本研究は3月中旬から下旬にかけて実施したことから,春休み期間のスマホの利用の実態を明らかにしたといえる。1日のスマホの利用時間は内閣府(2019)の報告資料と一貫している結果であった。他人から認められたい欲求が低いほど,ゲーム系アプリおよび娯楽系アプリを利用時間が高いことが示唆された。これは他者からの承認に大きな価値をおいていないほど,エンターテイメントに関連するアプリに時間を費やしていることが考えられる。効果量は大きくなかったことからどのような他の要因がスマホの過度な使用に繋がっているかを検証することが今後の課題である。過度なスマホの利用を防ぐため依存傾向を把握し保護者と協力してスマホの内容を管理することが問題を予防する点で有効であることが考えられる。
引用文献(一部省略)Elhai, J. D., et al. (2017). Problematic smartphone use. Journal of affective disorders, 207, 251-259.
内閣府(2019).平成30年度 青少年のインターネット利用環境実態調査(PDF版)
Panova, T., & Carbonell, X. (2018). Is smartphone addiction really an addiction?. Journal of Behavioral Addictions, 7(2), 252-259.

キーワード
スマートフォン/行動嗜癖/思春期


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