発表

1D-027

口腔体操およびブラッシングにおけるストレス・マネジメント効果

[責任発表者] 髙橋 香奈子:1
1:杉並区障害者地域相談支援センター

目 的
 ブラッシングという行為が脳を活性化させるという報告がみられるようになった。佐達他(2010)は,自ら歯磨きをすることが大脳皮質を賦活させ,その結果積極的休息になる可能性があると報告している。また,梅谷他(2011)は,術者によるブラッシングには,患者をリラックスさせる可能性があると報告している。しかし,口腔を用いたリラクセーション,およびブラッシングにおけるストレス・マネジメントについての報告は見当たらない。
 そこで本研究では口腔体操およびブラッシングにおけるストレス・マネジメント効果を明らかにすることを目的として質問紙調査を行い,ストレス・マネジメントの効果を検討した。

方 法
 調査対象:医療法人が運営する歯科健診協会主催の歯科衛生士による講演会に参加した29名のうち,性別未記入3名,年齢未記入1名を除いた25名(男性14名,女性11名,平均年齢48.4±10.4歳)を対象とした。
 調査時期:2017年12月
 調査内容:対象者には本研究の趣旨を歯科衛生士が口頭で説明し,同意した者は,プログラム内容(Table1)についての説明直後,10分間の口腔体操直後,さらに5分間のブラッシング直後の3回,心理的ストレス反応尺度(Stress Response Scale-18:以下,SRS-18とする)(鈴木・嶋田・三浦・片柳・右馬埜・坂野,1997)を実施した。この尺度は項目数が18と少なく,測定対象者への負担が少ないこと,尺度を繰り返し用いることが可能なため,口腔体操およびブラッシングにおけるストレス・マネジメント効果を調査するために利用した。なお,本人への同意確認については,配布した質問紙の回答をもって同意とみなすことを説明した。
 分析方法:ストレス反応の介入前後における変化の分析は,paired t検定を用いて,介入前後のSRS-18の結果の比較を行った。有意水準は5%未満とし,統計分析にはEZR(フリーソフト)を使用した。

結 果
10分間の口腔体操前後の評価
 SRS-18の平均値は,介入前が10.84点に対して,介入後が7.88点と有意に低下した(p<0.01)(Figure1)。
5分間のブラッシング前後の評価
 SRS-18の平均値は,介入前が7.88点に対して,介入後が6.44点と有意に低下した(p<0.03)(Figure1)。
介入前と5分間のブラッシング後の評価
 SRS-18の平均値は,介入前が10.84点に対して,介入後が6.44点と有意に低下した(p<0.01)(Figure1)。

考 察
 10分間の口腔体操および5分間のブラッシング,さらに介入前と5分間のブラッシングにおいて介入前後のSRS-18の平均値が有意に低下した。また,5分間のブラッシング後は介入前と比較して有意に高い低下が認められた。これらの結果から,口腔体操およびブラッシングには,ストレス・マネジメント効果があることが示された。また,効果は副交感神経系の活動亢進を作用させる刺激時間に影響されることが示唆された。

引用文献
佐達秀敏・村上義徳・外村学・矢田幸博・下山一郎(2010).歯磨き行為の積極的休息への応用について 産衛誌,52,67-73.
梅谷健作・玉木直文・森田学(2011).術者によるブラッシングが自律神経系に及ぼす影響 口腔衛生会誌,61,581-588.
鈴木伸一・嶋田洋徳・三浦正江・片柳弘司・右馬埜力也・坂野雄二(1997).新しい心理的ストレス尺度(SRS-18)の開発と信頼性・妥当性の検討 日本行動医学会誌,4(1),22-29.

キーワード
口腔体操/ブラッシング/ストレス・マネジメント


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