発表

1C-029

マインドフルネストレーニングおよび注意訓練がマインドワンダリングの低減に及ぼす影響の比較

[責任発表者] 梅田 亜友美:1
[連名発表者・登壇者] 高橋 恵理子#:2, 池田 寛人#:1, 根建 金男:3
1:早稲田大学, 2:早稲田大学人間総合研究センター, 3:早稲田大学人間科学学術院

問題と目的 マインドワンダリング(以下,MW)とは,現在遂行中の作業や課題から,それと無関係な思考へと注意が移る現象である(Smallwood & Schooler, 2006)。MWはマインドフルネストレーニング(以下,MT)を行うことによって減少することが示されているが(Mrazek, Smallwood,& Schooler, 2012),MTがMWを制御するメカニズムは明らかでない。
 MWは実行機能上の現象であるため,MTは注意制御機能を向上させることによって,MWを減少させている可能性が考えられる。そのため,注意制御機能を向上させるトレーニング(以下ATT,Wells, 2006)とMTを比較することによって,MWの低減に有効な要因を明らかにすることができると考えられる。
方法実験参加者 首都圏の大学生および大学院生37名(男性14名,女性23名;平均年齢21.35歳,SD=2.71)が本実験に参加した。実験参加者は,MT群(13名),ATT群(13名),統制群(11名)に割り振られた。
実験指標 Sustained Attention to Response Task (Mrazek et al., 2012;以下SART):MWを間接的に測定するGO/NOGO課題である。実験参加者は頻繁に出現する非ターゲット(3以外の数字)に出来るだけ素早くキーを押して反応するように求められ,ターゲット(数字の3)が出現した場合はキーを押さないように求められた。パフォーマンスマーカーとして,ターゲットに対し反応したSART errorと,反応時間の変動係数 (reaction time [RT] CV)を算出した。SART errorが多い,またはRTCVが高いほどMW傾向が高いことを表す。
手続き 実験は2週間の期間をおいて,プリテストとポストテストの2日間にわたって行われた。プリテストでは,MT群にはMTを,ATT群にはATTを15分程度行わせた。統制群には15分程度眠らずに何もしないよう求めた。その後,すべての群においてSARTを10分間行った。その後,MT群およびATT群には2週間毎日トレーニングを行うよう求めた。最後にポストテストを実施した。
倫理的配慮 本研究は,早稲田大学人を対象とする研究に関する倫理審査委員会の承認を得て行われた(申請番号:2017-196)。
結果 実験操作によるMWの変化を検討するため,SART error,SART RTCVをそれぞれ従属変数として,時期(プリテスト,ポストテスト)と群(MT群,ATT群,統制群)の2要因の分散分析を行った(Table 1)。その結果,SART error,SART RTCVのいずれについても時期の主効果,群の主効果,交互作用は有意ではなかった。
 次に,2週間のトレーニングによるMWの変化を検討するため,SART errorおよびSART RTCVの変化量(ポストテスト-プリテスト)を算出した。群を独立変数,SART errorの変化量を従属変数とした分散分析を行った結果,差が有意な傾向を示した(F(2,34)=2.585, p=.090)。そのため,Tukey法による多重比較を行ったところ,MT群と統制群のSART errorの変化量の間の差が有意な傾向を示した(Figure 1)。さらに,群を独立変数,SART RTCVの変化量を従属変数とした分散分析を行った結果,有意差はみられなかった(F(2,34)=2.426, p=.104)。
考察 本研究では,統計的には有意な差は示されなかったものの,プリテストにおいて,MT群では他の群と比べてSART errorおよびSART RTCVの平均値が大きくなっていた。MTは呼吸や身体感覚のような自己注目を促進させる要素が含まれており(Papageorgiou & Wells, 2000),この自己注目が一時的にMWを促進した可能性が考えられる。そして,2週間のトレーニングの結果,MWの統制力が高まったことにより,MT群では,MWが減少傾向にあったのではないかと考えられる。
 しかしながら,本研究において,ATTはMWに有意な影響を及ぼさなかったことから,注意制御機能の向上だけでは不十分であった可能性が示唆された。したがって,注意制御機能に加えてMTによる内部感覚への注目が,MWへの気づきを高め,それに対して評価判断しない姿勢が獲得されたことによって,MWの統制力が高まった可能性が考えられる。

キーワード
マインドフルネストレーニング/注意訓練/マインドワンダリング


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