発表

1B-027

新任教師のバーンアウトを防ぐためのソーシャル・キャピタルII
リアリティ・ショックの内容に着目した検討

[責任発表者] 古谷 嘉一郎:1
[連名発表者・登壇者] 松永 美希:2, 中村 菜々子:3
1:北海学園大学, 2:立教大学, 3:中央大学

■目的■本研究は,古谷・松永・中村(2018)をもとに,RSの種類を考慮に入れた追加分析を行ったものである。古谷他(2018)では,職場内外のSCはバーンアウトの緩和要因として機能した。また,RS要因はバーンアウトの下位概念である脱人格化に対して,特に影響をあたえていた。しかし,古谷他(2018)の課題として,松永他(2017)で提案されたRS要因の下位因子に着目していなかった。本研究ではこの点を検討する。
■方法■ 古谷他(2018)を参照。■結果■ 性別構成は男性32名,女性58名,不明3名の計93名であった(欠損値のため,分析では人数が変動する)。平均年齢は24.42歳(SD = 4.04)。目的変数をバーンアウトの各下位因子: 職場の人間関係,経験不足,生徒・保護者との関係,多忙),説明変数をRS要因の下位因子,職場内SC,職場外SCとし,統制変数を年齢,性別ダミー,学校種,K6,目的変数以外のバーンアウト下位因子とする階層的重回帰分析を行った。Step1では統制変数と説明変数を,Step2では1次の交互作用項,Step3は2次の交互作用項を投入した。
 まず,生徒・保護者との関係(以下,生徒・保護者関係)を交互作用項に組み込んだ分析をおこなった。脱人格化について,Step2までの変化量が有意(R2 = .65, p < .01, ΔR2 = .05, p < .01)であり,職場内SC×生徒・保護者関係(β = .33, p < .01)が有意であった。単純傾斜をFigure1に示す。職場内SC得点が低い人は,生徒・保護者関係得点が高いほど脱人格化が高かった。また,生徒・保護者関係得点が低い人は,職場内SC得点が高いほど脱人格化が高かった。情緒的消耗感については,職場内SC(β = -.26, p < .01),経験不足(β = .21, p < .05)の影響が認められた(R2 = .64, p < .01)。個人的達成感の低下については,経験不足(β = .29, p < .05)の影響が認められた(R2 = .36, p < .01)。
 次に経験不足を交互作用項に組み込んだ分析を実施した。脱人格化については影響が認められなかった。情緒的消耗感については,Step2までの変化量が有意(R2 = .68, p < .01, ΔR2 = .04, p < .05)であり,職場内SC(β = -.25, p < .05),生徒・保護者関係(β = -.23, p < .05),職場内SC×経験不足(β = .18, p < .05)が有意であった。単純傾斜をFigure2に示す。職場内SC得点が高い人は,経験不足得点が高いほど情緒的消耗感が高かった。また,経験不足得点が低い人は,職場内SC得点が高いほど情緒的消耗感が低かった。個人的達成感については生徒・保護者関係と同様であった。
 さらに,職場の人間関係(以下,職場関係)を交互作用項に組み込んだ分析を行った。脱人格化について,Step2までの変化量が有意(R2 = .67, p < .01, ΔR2 = .09, p < .01)であり,職場内SC×職場関係(β = .32, p < .01),職場外SC×職場関係(β = .17, p < .05)が有意であった。職場内SC得点が低い人は,職場関係得点が高いほど脱人格化得点が高かった。また,職場関係得点が低い人は,職場内SC得点が高いほど脱人格化していた。職場関係得点が高い人は,職場外SC得点が低いほど脱人格化していた。個人的達成感の低下については生徒・保護者関係と同様であった。
 最後に,多忙を交互作用項に組み込んだ分析を行った。脱人格化について,Step2までの変化量が有意(R2 = .65, p < .01, R2 = .06, p < .01)であり,職場内SC×多忙(β = -.27, p < .01)が有意であった。単純傾斜を確認した結果,職場内SC得点が低い人は,多忙得点が高いほど脱人格化得点が高かった。また,多忙得点が低い人であっても,職場内SC得点が高いと脱人格化していることも明らかになった。情緒的消耗感,個人的達成感については生徒・保護者関係と同様であった。
■考察■ 生徒・保護者関係や職場関係,多忙などのRS要因を感じていなくても,職場内のSCが豊かであることにより脱人格化してしまっていた。このことから,職場内の規範の質などを考慮する必要があるかもしれない。加えて,経験不足の知覚により,職場内SCが豊かであっても情緒的消耗感を感じてしまっていた。そのため,RS要因の悪影響を緩和する方法が望まれる。

キーワード
リアリティ・ショック/ソーシャル・キャピタル/バーンアウト


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