発表

1B-025

新人看護師におけるバーンアウトと抑うつの関連

[責任発表者] 重松 潤:1,2
[連名発表者・登壇者] 松本 美涼:1,2, 神原 広平:1, 田辺 紗矢佳#:2, 南 花枝#:2, 濱咲 真理子#:2, 神田 弘子#:2, 町野 彰彦#:2, 竹林 実#:2,3, 尾形 明子:1
1:広島大学, 2:国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター, 3:熊本大学

問題と目的
 近年,看護師の離職が問題となっている(日本看護協会,2015)。看護師の離職には,バーンアウトといった心理学的要因の関連が指摘されており(塚本・野村,2007),結果的にうつ病の診断により離職に至ることも少なくない。バーンアウトとは,「心的エネルギーが絶えず過度に要求された結果,情緒的消耗感,脱人格化,および個人的達成感の減退をともなう症候群」である(Maslach & Jackson, 1981)。バーンアウトは,まず仕事における負担感や葛藤の持続による情動的消耗感と,患者に対する無情で非人間的な対応をすることである脱人格化,そして患者に対する共感的関わりおよび業務での個人的達成感の減少で構成されている(北岡,2005)。
 一方で,バーンアウトとうつ病の症状がオーバーラップしていることが指摘されている(入江,2017)。特にバーンアウトの3因子のうち,情緒的消耗感が最もうつ病との相関が強いとの指摘があるものの(Hakanen & Schaufeli, 2012),実際の現場の新人看護師におけるバーンアウトとうつの関連を明確化した知見は少ない。重度のバーンアウトを呈するにも関わらず,うつ病の診断基準が適合されなかったこともケースもある(Ahola et al., 2005)ことを鑑みると,バーンアウトのどの要素にアプローチすることでうつ症状を軽減・予防することができるのか明らかにする必要がある。
 以上のことから,本研究では新人看護師を対象として,バーンアウトの3因子がどのように抑うつに影響を及ぼすか検討した。
方法
調査対象者:調査対象者はA県内のB総合病院に勤務する勤務年数3年以内の新人看護師85名を対象とした。有効回答者数は85名(男性7名,女性73名,不明5名,平均年齢=23.62)であった。対象者の年齢は,21歳から22歳が26名,23歳から24歳が45名,25歳から29歳が6名,30代以上が3名,不明が5名であった。
尺度: (1) バーンアウト:日本語版バーンアウト尺度(久保,2004) 全17項目,5件法。「情緒的消耗感」「脱人格化」「個人的達成感」の三つの因子が測定される。なお,個人的達成感は逆転して処理される。(2) 抑うつ:Self-rating Depression Scale SDS(Zung, 1965)の日本語版(福田・小林,1973)全20項目,4件法。
実施手続き:B病院で行われた年度末の振り返り研修およびプリセプター研修の時間を利用し,研究の目的や倫理的配慮について説明を行い,質問紙への回答をもって研究への同意とするということを伝え,質問紙を配布し,後日質問紙の回収を行った。
倫理的配慮:B病院の倫理審査委員会に研究計画書を提出し,承認を得たのちに実施した。

結果
 基礎統計量および各変数の相関係数をTable1に示した。次に,抑うつを目的変数,バーンアウトの下位因子を説明変数とする重回帰分析を実施した(Table 2)。その結果,情緒的消耗感および脱人格化が抑うつを有意に予測していた(順にβ=.428, 95%Cl[.22,.64], p<.01:β=.308, 95%Cl[-.09,.30], p<.01)。
考察
 本研究の結果より,新人看護師のバーンアウトと抑うつの関連において,情緒的消耗感,脱人格化が抑うつを予測することが示された。このことから,新人看護師においては,決してバーンアウトの要因全てが抑うつに影響するわけではなく,バーンアウトの初期段階に特に感じる情緒的消耗感や脱人格化がその時期の抑うつ感に強く影響していると考えられる。特に,情緒的消耗感が最もうつを予測することは先行研究(Hakanen & Schaufeli, 2012)とも一致し,新人看護師においても,仕事における負担感や葛藤の持続に対する介入が重要になると考えられる。ただし,バーンアウトのうつに対する説明率は5割程度にとどまっていることを踏まえると,新人看護師の抑うつへのアプローチには,バーンアウト以外の要因も考慮しなければならないと考えられる。
主な引用文献
久保真人(2004) バーンアウトの心理学:燃え尽き症候群とは. サイエンス社

キーワード
新人看護師/バーンアウト/うつ


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