発表

1B-021

友人関係スタイルから見た援助要請の特徴
―援助要請意志と援助要請行動に着目して―

[責任発表者] 寺井 茜:1
[連名発表者・登壇者] 伊藤 宗親:2
1:岐阜大学, 2:岐阜大学

目 的
 友人に対する援助要請行動について検討を行った雨宮・松田 (2015) は,日常場面における援助要請行動を促進するためには,普段から周囲のサポートを受けることができる関係性を築くことが重要であると示唆した。しかし,現代青年の友人関係は表面的に円滑な関係をとるような関係であると指摘されており (岡田,2002),友人との親密な関係を築くことができない若者が多く存在することが推測される。悩みを抱え専門家の援助を必要としながらも,援助サービスを利用しない現象はサービスギャップ (Stefl & Prosperi, 1985) と呼ばれるが,悩み事を友人に相談したいと思っても,悩みを打ち明けられないというサービスギャップに類似した状況が友人関係の中でも発生していることが想定される。また,友人関係の持ち方 (友人関係スタイル) によって,援助要請意志および行動に違いが生じることが予想される。
 以上から,本研究では友人関係スタイル (特に表面的関係に着目して) に基づく,友人に対する援助要請の差を明らかにすることを目的とした。
方 法
調査対象者:大学生367名 (男性142名,女性222名,性別不明3名) を有効分析対象とした。平均年齢は19.88歳 (SD = 0.68) であった。
調査時期:2019年4月中旬に実施した。
質問紙の構成:木村・水野 (2004) が被援助志向性を測定する際に用いた悩みについて,援助要請意志,援助要請行動,悩みの程度を測定した。また,友人関係スタイルを測定する尺度として友人への同調性尺度 (石本・久川・齊藤・上長・則定・日潟・森口, 2009),金子 (1989) が作成した心理的距離尺度を友人との距離を測定するよう改めたものを使用した。
結 果
尺度の検討
 友人への同調性尺度についてα係数を参考にし,1項目を削除した。同様に友人との心理的距離尺度についても1項目を削除した。それぞれ削除後のα係数は.857,.852であった。すべての尺度について項目平均値を各尺度得点とした。
友人関係スタイルの群分け
 石本ら (2009) にならい,同調性得点,心理的距離得点それぞれの平均値で同調性高・低群,心理的距離高・低群に分割し,それらを掛け合わせ4つの友人関係スタイルに群分けを行った。同調性高・心理的距離遠を表面群,同調性高・心理的距離近を密着群,同調性低・心理的距離遠を孤立群,同調性低・心理的距離近を尊重群とした。
友人関係スタイルによる援助要請の比較
 各尺度について性差を検討するためにwelchのt検定を行ったところ,すべての尺度において有意差が見られたため,以降の分析は男女別 (性別不明者を除く) に行うこととした。
 友人関係スタイルによる援助要請意志の差を検討するために,援助要請意志を従属変数,友人関係スタイルを独立変数とした1要因分散分析を行った。その結果,男女とも有意な差が見られた (F (3,138) = 7.732, p < .001; F (3,218) = 6.367, p < .001) ためTukeyのHSD法による多重比較を行ったところ,男性について孤立群の援助要請意志得点が表面群,密着群よりも低いこと,女性について密着群の援助要請意志得点が表面群,孤立群,尊重群よりも高いことが示された。
 次に友人関係スタイルによる援助要請行動の差を検討するために,援助要請行動を従属変数,友人関係スタイルを独立変数とした1要因分散分析を行った。その結果,男女とも有意な差が見られた (F (3,138) = 2.832, p < .05; F (3,218) = 8.904, p < .001) ため,TukeyのHSD法による多重比較を行ったところ,男性について孤立群の援助要請行動得点が密着群よりも低いこと,女性について孤立群の援助要請行動得点が密着群,尊重群よりも低く,表面群の援助要請行動得点が密着群よりも低いことが示された。以上の結果をTable 1に示す。
考 察
 友人関係スタイルの違いによって援助要請意志および援助要請行動に差が生じることが示された。例えば,表面群について,男性においてのみ援助要請意志は孤立群よりも高いものの,援助要請行動においては有意差が見られなかったことから表面群は友人に援助を求めたいという思いはあるものの他の群に比べて行動につながらない可能性が示唆される。
 現在,援助要請に焦点を当てた介入方法が検討されているが (例えば,本田,2015),友人に対する援助要請について検討を行う場合,その人物がどのような友人関係をとっているかを考慮に入れることでより適切な支援を行うことができると考えられるだろう。
引用文献
本田 真大 (2015). 援助要請のカウンセリング―「助けて」 と言えない子どもと親への援助― 金子書房 他

キーワード
援助要請意志/援助要請行動/友人関係


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