発表

3D-005

「不確かな」好感に惹かれるか?
Speed Datiingセッション間での中間フィードバックの効果

[責任発表者] 相馬 敏彦:1
[連名発表者・登壇者] 西村 太志:2, 金政 祐司:3, 鬼頭 美江:4, 谷口 淳一:5, 山田 順子:6, 李 韻涵#:1
1:広島大学, 2:広島国際大学, 3:追手門学院大学, 4:明治学院大学, 5:帝塚山大学, 6:玉川大学

 問題
 他者から好意を向けられることでその他者への好意が生じる,という返報性の原理は対人魅力研究で古くから取り上げられてきた。一方,現実には他者からの好意が明瞭な場合もあれば不明瞭な場合もある。Montoya et al.(2015) によると,自身に対する好意が不確かな相手に対して,人は関係形成が可能かどうかを見定めようとして接近を動機づけられる。彼はこの動機も1つの魅力(行動的魅力)であると捉えた。そして,平均的な水準で確実な好意を与えられた場合よりも,不確実な好意を与えられた方がこの行動的魅力が高いことや,この背景に不確実さを低減させようとするプロセスが仲介していることを実証した。この視点から考えれば,多くの他者と出会う状況で,複数の相手から自分への評価が平均して好意的であったとしても,好意の表明者間でその程度にばらつきががあるほど,相手への接近的な態度が強まると予測できる。
 そこで,本研究ではSpeed Dating(以下,SD)を繰り返す途中での中間フィードバック(以下,中間FB)の効果として,上記の予測が妥当であるかを検証する。SDとは,典型的には,男女それぞれ10人ずつが一同に会した上で,順に男女一組ずつ全ての組み合わせで短時間の会話を交わし,最終的に交際を開始したい相手を見つけるイベントである。ここでは,同じ相手とSDを二回繰り返す途中で,全ての会話相手からの印象評定を中間FBとして各参加者に与え,そこから読み取った評価のばらつきによって,その後の相手からの評価への関心(以下,評価関心)が高まるかどうかを検証した。
 方法
【参加者】26歳から40歳で,自治体の企画する出会いイベントへの参加者40名(男女各10名×2セッション,平均年齢33.8歳)。
【手続き】参加者は事前アンケートに回答した上でイベントに参加した。会場到着後,進行についての説明と簡単な講義を受けた後,一組ずつ等間隔で並置された椅子に男女ペアで座り,順に会話していった。椅子は円形に配置されており,司会者の合図で男性参加者のみが移動し,全ての参加者が10人の異性と会話を交わした。会話が終わるごとに,各参加者は相手への印象を評定した。一巡目が終わり休憩に入る前に一巡目の印象評定全てが回収され集計された。二巡目が始まる前に,各参加者には中間FBが手渡されて読むよう求められた。そこには,一巡目での異性の相手10人から評価された項目とその平均点(後述するように平均的にポジティブ),ならびに最高点をつけた人数が記述されていた。具体的には「まじめそう」もしくは「いい人だと思う」という項目のいずれかで好意的に評価されており,平均点が何点であったか,ならびにその項目について高得点をつけた人が何人いたかが,実際の評定に基づき個別に提示された。一巡目と同様の段取りで二巡目の会話を行い,その後交際を希望する相手を3人まで記入した。最終的に相互選択したペアが発表され,選択された参加者とされなかった参加者それぞれで簡単な講義を受け,イベントは終了した。なお,イベントの告知段階で参加者には研究プロジェクトの一環として行われるイベントであることはアナウンスされており了承した上で参加してもらった。
【項目】1)相手からの評価への関心 一巡目と二巡目それぞれの最後に各セッション内で異性の参加者からどのように思われるのかについて「全く気にならなかった」〜「非常に気になった」の4件法 2)中間FBばらつき評定 中間FBを読んだ直後に異性の参加者から自身への関心のばらつきについて「皆が同じ程度の関心をもっている」~「関心の程度には大きなばらつきがある」の5件法
 結果と考察
 中間FBでは,どの参加者もポジティブな評価が返された(M=1.99 SD=0.31,0〜3点で1点以上がポジティブ)。ただし最高点(2点か3点)をつけた人数は1〜9人までとばらつきがみられた。中間FBには何ら作為は加えていなかったが,それに疑いをもったと回答した5名を除外し,35名について分析を進めた。
 予測を検証するため,第二セッションでの相手からの評価関心を従属変数,第一セッションでの評価関心と中間FBばらつき評定を独立変数とする重回帰分析を実施した。その結果,ばらつき評定による効果が示された(表)。なお,独立変数に中間FBでの平均点(β= .12, p=.46)や高得点をつけた人数(β= -.01, p=.96)を加えて分析を行っても,それらはいずれも有意な効果を示さず,さらに先と同様のばらつき評定による効果が示された。
 予測はおおむね支持され,相手からの評価が平均的にポジティブなものであっても,そこにばらつきがあると認識するほど,その後に相手からの評価に関心が向くことが示された。このことは,確実なFBよりも不確実なFBの方が,出会い場面での相手探しの動機を高める可能性を示すものである。今後,そのような動機の変化が具体的にどのような行動に結びつき,相手選択にどう影響するのかを調べる必要がある。

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