発表

3B-007

デートDVから逃れられないのはなぜか
コミットメントの観点から

[責任発表者] 小澤 正典:1
[連名発表者・登壇者] 北神 慎司:1
1:名古屋大学

目的
 本研究ではデートDVとコミットメントの関係を検討する。Rusbult(1980, 1983)によると,コミットメントは関係を継続したいという意思である。Rusbult(1983)では,コミットメントを恋愛関係に満足している程度である“満足度”と,恋愛関係に尽くしている程度である“投資量”,恋愛関係から受ける喜びの程度である“報酬”,恋愛関係において否定的な側面である“コスト”,他に魅力的な他者がいる程度である“代替関係”によって説明している。一方,デートDVとは,交際関係にある相手から受ける身体的・精神的・経済的・性的暴力のことであり,若い年齢で起こることを示すことが多い(野口,2009)。実際に,2005年にさいたま市が行った実態調査(さいたま市,2005)で暴力を受けた後に交際を続けたかについて,”相手と別れた”(25.8%),“別れたいと思ったが,別れなかった”(24.7%),“別れたいとは思わなかった”( 39.5%)となっている。つまり,デートDVは,さいたま市が行った実態調査にもあるように,被害を受けても関係を解消しようとしない傾向がある。これらに関連して,本研究では関係の継続意思であるコミットメントとデートDVとの関係を明らかにすることを目的とする。

方法
参加者:大学生2-4年生113人(女性67人)
手続き:自由回答式で質問紙調査を行った。フェイスシート項目で現在交際しているか否かを尋ね,交際している参加者のみ分析を行った。
質問紙:コミットメント尺度と,“満足度”“投資量”“報酬”“コスト”“代替関係”の5つの変数を測る項目とデートDVの質問項目で構成されている。コミットメント尺度とこれら5つの変数は中村・中田(2002),Rusbult(1983)およびLund(1985)で使用された尺度を参考に作成し,5件法で回答を求めた。デートDV尺度は野口(2009)を参考に作成し,デートDVの各項目に関して“まったくない”,“一・二度”,“何度も”の中から当てはまるものを回答させた。
結果
因子分析:恋愛関係におけるコミットメントの因子分析を行った。情報慮基準BICが最も低い因子数に決定した(RMSEA = .00)。その結果2因子解となり,それぞれを“自分コミットメント”・“相手コミットメント”と命名した。
階層的重回帰分析:“自分コミットメント”・“相手コミットメント”の2つの目的変数に対して階層的重回帰分析を行った。Step1では“満足度”“投資量”“報酬”“コスト”“代替関係”を説明変数とし,Step2ではデートDV項目を説明変数に追加した。結果を表1,2に示す。

考察
 進行中の恋愛関係について,本研究においてコミットメント尺度が1因子解とならなかったのは,項目が自分と相手という2つの視点から恋愛関係を考える構成になっていたからであると考えられる。重回帰分析の結果から自分コミットメントと相手コミットメントでは構造が異なることが明らかになった。また,どちらのコミットメントではデートDVは有意に説明せず,決定係数の有意な上昇もみられなかった。そのため,恋愛関係の継続に影響することなくデートDVが悪化する可能性が示唆された。

キーワード
デートDV/コミットメント/投資モデル


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