発表

3A-018

援助要請回避尺度.ver2作成の試みとストレッサーとの関連の検討

[責任発表者] 玉水 克明:1
[連名発表者・登壇者] 浦 光博:1
1:追手門学院大学

問題と目的:援助要請行動に関する定量的な研究は多く,その尺度開発も活発である。それらの多くは援助要請に対する肯定的な意識・態度を測定する内容であり,援助要請行動に対して否定的な態度を直接測定する尺度は見受けられない。また,援助要請回避の多様性を包括的に捉える尺度は無い。玉水(2019)は援助要請に対して否定的な態度を取る理由を包括的に描写する検討を行った。最初に定性的な手法で半構造化面接法から回避理由を採取し,1つ1つの理由を分類した。その後に質問紙調査を行い,定量的手法で暫定版援助要請回避尺度を作成した。Tamamizu & Ura(2019)では援助要請回避尺度(ver.1)を作成し,抑うつ感と孤独感との関連の程度が下位因子によって異なることを明らかにした。しかし,尺度の妥当性や再検査信頼性の検討が不十分であることが研究課題として残った。本研究では,援助要請回避尺度の併存的妥当性と再検査信頼性の検討を目的とした。

方法:調査は,大阪府内の私立大学で入学が決定している高校生を対象に行われた,入学前教育プログラムで実施した。プログラムの開始前(T1)と開始後(T2)で質問紙を配布し,縦断式調査を行った。最終的に分析対象となったのは,303名であった。配布の実施にあたり,質問紙の回答は,参加者が任意での自由参加が保障されていること,回答しないことによる不利益は一切生じないことを口頭で説明した。また,研究協力についての同意書に署名があった質問紙のみをデータとして使用した。
質問紙構成:援助要請回避尺度(ver.1)(Tamamizu & Ura ,2019)に項目を追加した物を使用した。また,妥当性の検討を目的に,援助要請スタイル尺度(永井,2013),大学生用日常ストレッサー尺度(嶋,1999)への回答も求めた。

結果:援助要請回避尺度(ver.1)の因子構造の再検討に探索的因子分析(最尤法・Harris-Kaiserの独立クラスタ―回転)をT1・T2 それぞれで実行した。スクリーテストならびに各因子に高く負荷する項目の意味的整合性をもとに最終的に18項目,4因子からなる援助要請回避尺度.ver2を作成した。第1因子を援助要請遠慮(5項目α=T1:.88・T2:.90),第2因子を自己評価懸念(5項目α=T1:.89・T2:.91),第3因子を援助要請困難(5項目α=T1:.78・T2:.83),第4因子を自己解決志向(4項目α=T1:.81・T2:.80)とした。
併存的妥当性の検討のため,援助要請回避尺度.ver.2の下位因子の得点と援助要請スタイル尺度ならびに大学生用日常生活ストレッサー尺度それぞれの下位因子間の相関係数を求めた結果,援助要請回避尺度.ver2の下位因子は,援助要請回避型と正の相関を示した(Table 1)。ストレッサーとは,自己解決志向以外の下位尺度と正の相関を示した。再検査信頼性に関しては,概ね認めることができる結果となった(r=.24~.43)。
大学生用日常ストレッサー尺度を目的変数,援助要請回避尺度.ver2の下位因子を説明変数にした多変量重回帰分析を実施したところ,対人ストレッサーを予測するのは,自己評価懸念であった(Table 2)。大学学業ストレッサーを予測するのは,援助要請困難であった。また,自己評価懸念と援助要請困難は,実存的自己ストレッサーを有意に予測していた。援助要請遠慮と自己評価懸念は物理・身体的ストレッサーを予測していた。

考察: Tamamizu & Ura(2019)と同様,今回の分析でも下位因子によって強く関連するストレッサーの種類が異なることが示された。また,援助要請回避尺度.ver2は,援助要請回避型と正の相関を示したことから援助要請行動を抑制する理由の多様性を描写できたと考える。
今後は,再度4因子構造を想定した調査を行い,精神的健康や適応間との関連の検討を行うことで,援助要請回避尺度.ver2をより確かなものにすることができよう。作成したこの尺度は,今後適応的な援助要請回避の在り方を検討する上で有効な指標の1つになるであろう。

キーワード
ソーシャル・サポート/援助要請行動/ストレッサー


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