発表

3A-015

リーダーのメッセージ・フレーミングと制御適合
フォロワーのモチベーションに与える影響

[責任発表者] 林 洋一郎:1
[連名発表者・登壇者] 佐々木 宏之:2
1:慶應義塾大学, 2:新潟国際情報大学

 制御適合とは,制御焦点(促進焦点と予防焦点)と目標追及方略(熱望と警戒)の間の組み合わせによって捉えられる。促進焦点と熱望方略,予防焦点と警戒方略の組み合わせが適合状態にあるとされる。適合感を経験した個人は,課題や仕事への努力を強めると考えられている(Cesario, Higgins, & Scholer, 2008)。
 我々は,これまでリーダーシップの文脈において制御適合の研究を行ってきた(林・佐々木, 2017, 2018)。はじめに,帰納的アプローチを使った探索的な研究を通じて,フォロワーに送る促進型メッセージと予防型メッセージを独自に抽出した(林・佐々木, 2016)。抽出されたメッセージは,信頼性と妥当性が確かめられた上で,表現が修正をされ,促進焦点と予防焦点を操作するための素材として用いられた。
 これらの刺激を使って主にリーダーの視点から研究を進めたが,主要な知見は以下の2点に集約される。1)リーダーは,フォロワーにメッセージを送る際,メッセージの制御焦点志向に合致したフレーミングを選好する。つまり促進型メッセージの場合は,ポジティブ・フレーミングが好まれ,予防型メッセージの場合は,ネガティブ・フレーミングが選択される。2) リーダーの個人特性(制御焦点志向,変革型や交流型といったリーダーシップスタイル)とフレーミング選好の間にも制御適合の関係が見出された。
 本研究は,これまでリーダーの視点から行ってきた研究に加えてフォロワーからの視点を導入し,リーダーシップに関する制御適合モデルの構築を試みる。そこで,リーダー視点研究で用いたメッセージ刺激を使って,メッセージの制御適合がフォロワーのモチベーションを高める効果を検証する。

方 法
参加者:オンライン調査を専門とする会社を通じて1553人の参加者を集めた。女性が,771人であり,男性が 782人であった。 平均年齢は,34.48であった(SD = 4.73)。
手続きと操作:参加者は,リーダーから指示や助言を受ける状況を想像するように求められた。提示される8つのメッセージを読んで,メッセージ毎に4項目の質問に答えるように求められた。提示されるメッセージによって制御焦点とメッセージ・フレーミングを操作した。制御焦点(促進型・予防型)とフレーミング(ポジティブ・ネガティブ)から成る2要因参加者間実験計画である。
従属変数:仕事へのモチベーションが,リッカート形式の7件法に基づく4項目尺度によって測定された。前向きな気持ち(willingness)を表す2項目と順守(compliance)を示す2項目から構成される尺度であり,独自に作成をした。実験条件ごとに内的一貫性に基づく信頼性係数を算出した(α = .88 - .96)。

結果と考察
 外的な操作チェックのため,別サンプル(n=532)を使って,各メッセージの目標志向性を確認したところ,促進焦点(M = 4.34, SD = 1.31)は予防焦点(M = 3.46, SD = 2.01)よりも有意に高く,操作は成功したと判断される(t (430) = -9.28, p < .01; Cohen’s d =-.89)。
モチベーションを従属変数とし,統制変数,制御焦点,フレーミング,制御焦点×フレーミングを説明変数とする階層的回帰分析を行った(Table1)。異なるメッセージに対する回答であっても同一の質問項目は,合算をして4つの合算値を算出した(範囲は,8 - 64)。さらに4つの合算値の平均値を各個人のモチベーション得点とみなした。
 制御焦点の効果が有意であり,予防型メッセージの方がモチベーションを高める効果が見出された。
 また,制御焦点×フレーミングの交互作用が有意であったので,単純傾斜分析を実施した(Figure1)。促進型メッセージでは,ネガティブ・フレーミングよりもポジティブ・フレーミングの方がモチベーションの得点が高かった。つまり制御適合の効果は促進焦点の場合のみ見出された。この結果は,メッセージ内容が促進焦点の場合に,ポジティブ・フレーミングとネガティブ・フレーミングという表現の使い分けが有効であることを示唆する。

キーワード
リーダーシップ/制御適合/メッセージ・フレーミング


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