発表

3A-014

対人ストレス・マインドセット尺度作成および妥当性の検討

[責任発表者] 尾崎 由佳:1
[連名発表者・登壇者] 大久保 慧悟:1,2, 雨宮 有里:3, 高 史明:4, 竹橋 洋毅:5
1:東洋大学, 2:ディップ, 3:東洋大学現代社会総合研究所, 4:神奈川大学, 5:奈良女子大学

 ストレス・マインドセットとは,ストレスが精神的・身体的健康にもたらす影響についての個人的信念のことを指し,「有害」から「有益」までの両極性をもつ。有害と信じる人ほどストレスの悪影響を受けやすく,有益と信じる人ほどストレス下での健康状態やパフォーマンスが良好であるという。ストレス全般に対するマインドセットの個人差を測定する尺度も開発されている (Crum et al, 2013; 訳・大久保ら, 2016)。
 本研究では,対人関係におけるストレスという文脈特定的マインドセットに着目した。また有害―有益という一次元性を前提とするのではなく,複数の次元性をもった信念体系がありうること,またそれぞれが異なる影響を精神的健康にもたらしうる可能性を想定し,これを実証的に検証する。

方 法
【予備調査1】大学生287名を対象としたWeb調査を行い,「人間関係におけるストレスは,あなた自身にどのような悪い(良い)影響を与えていると思いますか。」という設問に対して自由記述を求めた。得られた記述についてKJ法による整理を行い,229項目を作成した。
【予備調査2】大学生194名を対象としたWeb調査において「以下の項目が,人間関係のストレスがあなたに与える影響にどの程度当てはまると思うかをお答えください」という教示文とともに,上記の229項目をランダムな順序で呈示し,「1. 全くあてはまらない」から「6. 非常にあてはまる」までの6件法で評定する形式で回答を得た。この回答分布や項目間相関をもとに選出された項目候補数は62となった。
【本調査】全国に在住する20~69歳の日本人を対象としたインターネット調査を実施した。まずCrumら(2013)のストレス・マインドセット尺度に5件法で回答した。続いて予備調査2から得られた62項目について,予備調査2と同じ評定形式による回答を得た。全項目に回答し,かつサティスファイス検出項目に正しく反応した者683名(男337名,女346名, 平均年齢45.81歳, SD =12.85)について分析対象とした。このうち166名は人生満足感尺度(SWLS),自尊心尺度(RSES),抑うつ尺度(CES-D),コーピング方略尺度(Brief COPE)にも回答した。

結 果 と 考 察
 回答分布に極端な偏りのあった1項目,および同義重複とみられる4項目を除外し,全57項目を用いて探索的因子分析(最尤法・プロマックス回転)を行った。このときスクリープロットと因子の解釈のしやすさに基づき6因子とした。①いずれかの1因子に.500以上の因子負荷量を示したもの,②2因子以上に.300以上の因子負荷量を示していないもの,③1因子につき上限6項目までという基準により27項目を選出し,対人ストレス・マインドセット尺度とした(表1)。確証的因子分析の結果,適合度はCMIN(309) = 866.521, p<.001, GFI = .914, AGFI = .895, RMSEA = .051であった。
 各下位尺度内の項目の評定値を平均して得点を算出した(Cronbach’s α = .80 - .88)。弁別的妥当性の検討として,Crumらのストレス・マインドセット尺度およびコーピング方略尺度との相関を分析したところ,いずれの下位尺度得点とも相関が高すぎることはなかった(.01< |r|s<.49)。また,基準関連妥当性の検証として,主観的幸福感・自尊心・抑うつの各適応指標を目的変数とした重回帰分析(性別・年齢・婚姻・世帯年収・コーピング方略を統制)を行った結果,対人ストレス・マインドセット尺度の下位尺度のうち5つの得点は(他の変数と独立に)適応指標と有意に関連していた(資料参照)。
オンライン資料:https://osf.io/7uwym/

【引用文献】
Crum, Salovey, & Achor (2013). Rethinking stress: The role of mindsets in determining the stress response. JPSP, 104(4), 716.

キーワード
マインドセット/ストレス/抑うつ


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