発表

2D-020

社会人のメタ職業選択観
あなたにとって職業選択とはどのようなものか?

[責任発表者] 鎌倉 哲史:1
1:労働政策研究・研修機構

 目的
 鎌倉(2018)では「職業選択に対するメタ認知」としてのメタ職業選択観を独自に10種設定し,各専攻の大学生における分布を検討した。本研究では,同じ枠組みで20~50代の人(以下,「社会人」という)の該当状況を報告する。
 方法
調査対象:20~59歳の男女(大学生・大学院生を除く)
調査時期:2017 年 9 月に実施した。
手続き:性別×年齢階層(20代,30代,40代,50代)の各セル200名を目標にWebモニターに協力を依頼した。
調査内容:最終学歴,就職経験・転職経験の有無,直近1ヶ月の主要従事事項を尋ねた上で「あなたにとって職業選択とはどのようなものですか?」という文言で 10 種のメタ職業選択観(Table 1)の該当有無を複数回答で尋ねた。ただし「未分化」は他の選択肢とは同時に選べないよう設定した。
 結果
 目標数を上回る 1,837名から回答を得た(Table 2)。各メタ職業選択観の全体での該当率,および単変量比較の結果をTable 3に示す。
 考察
 全体では経歴準拠の該当率が最も高く,鎌倉 (2018)の大学生の結果よりも自分の既存キャリアの蓄積を重視する傾向が見られた。女性のほうが男性よりも役割受容が多い点,転職経験者で経歴準拠と偶発機会が多い点,大卒未満で選択弱者や未分化が多い点なども注目されるが,あくまで単変量での検討結果であり今後は分析方法の精緻化が必要である。
 引用文献
鎌倉哲史 (2018). 大学生のメタ職業選択観―あなたにとって職業選択とはどのようなものか? 日本心理学会第82回大会発表論文集, p.981.

 Table 1 メタ職業選択観の名称と調査票上の文言
┌────┬────────────────────┐
│ 名称 │ 調査票上の文言 │
├────┼────────────────────┤
│適職探索|求職活動の開始時に自己分析や業界研究を行│
│ |い自分に合った職業を選ぶもの。 │
├────┼────────────────────┤
│役割受容│家庭や地域における周囲の期待や,自分に求│
│ │められる役割に合った職業を選ぶもの。 │
├────┼────────────────────┤
│専攻準拠│学校の専攻(例:美容,保育,医療)が,そ│
│ │のまま特定の職業へと続いているもの。 │
├────┼────────────────────┤
│経歴準拠│これまでの経歴・職歴の延長線上で,特定の│
│ │職業を選ぶもの。 │
├────┼────────────────────┤
│早期選択│個人的な理由(例:夢,使命感)で,ずっと│
│ │前から心に決めて変わらないもの。 │
├────┼────────────────────┤
│家業人脈│親族の家業(例:農園,商店)や人脈があり│
│ │探さなくても自分が納得できる職業に就ける│
│ │もの。 │
├────┼────────────────────┤
│偶発機会│偶然や幸運で訪れた就職のチャンスを,逃さ│
│ │ずつかみ取ることで決まるもの。 │
├────┼────────────────────┤
│選択弱者│何らかの事情(例:経済的な事情,病気・障│
│ │害・地域の過疎化)で選べる余地がほとんど│
│ │ないもの。 │
├────┼────────────────────┤
│企業準拠│就職先の企業は選択するが,職業を選択する│
│ │という意識は持っていない。 │
├────┼────────────────────┤
│未分化 │まだ職業の選択について考えたことがないの│
│ │で,よくわからない。 │
└────┴────────────────────┘
 注)各メタ職業選択観の参考文献は鎌倉(2018)参照。

キーワード
職業選択/適職探索


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