発表

2D-006

マンガ・アニメにおけるオタク尺度

[責任発表者] 太田 碧:1
1:法政大学

目 的 オタク度を測るオタク度尺度についての研究や,オタクに関するステレオタイプと実際の相違を検討するものとして,オタクとはどのような人物なのか,コミュニケーション能力・社会性・人間関係などの特性とオタク度の関係性を明らかにした研究が行われている。しかし,オタクにはその度合いの多様性が存在する。今やマンガやアニメはごく限られた一部の人々の趣味ではない。かつての「オタク」像ほどのめり込まずとも,マンガやアニメを楽しむ「ライトオタク」なる層も存在する。「オタク」という言葉の現在の使用法や対象は様々であるが,本研究では「マンガ・アニメ(のキャラクター)のいずれかを愛好・趣味とする人」をオタクとする。その上で,オタクか否かの判別やオタクの性格特性を示すのではなく,マンガとアニメ,またキャラクターそれぞれに対する態度や行動を検討することにより,オタク内での態度や行動の違いによる分類や,オタク度合いを示すことを目的とする。
方 法 尺度 マンガ,アニメ,キャラクターそれぞれについての態度や行動などを尋ねた。内容は小城(2004)の一連の研究を参考にした。マンガに対する態度や行動に関する質問は21項目,回答は「まったくあてはまらない」から「とてもあてはまる」の7段階とした。アニメに対する質問も同様の21項目であった(内容に即し「読む」を「観る」などに変更)。キャラクターに対する質問は18項目であった。
 参加者 都内大学の大学生,大学院生(男性15名,女性16名,未回答1名,平均年齢20.2歳,SD=1.15)が参加した。
 手続き 参加者はウェブ上の調査フォームにて「マンガ・アニメ・キャラクターに対する意識の調査」として作成したオタク尺度に回答した。
結 果 マンガ・アニメ・キャラクターに対する項目それぞれ,最小二乗法直接オブリミン回転により因子分析を行った。マンガオタク項目では,因子負荷量の低い1項目「友達や家族,メディアの流行に影響されてマンガを読んでいる。」を除いて因子分析を行った結果,読者として時間や金銭等をマンガに費やしている「読者コスト因子」,マンガに影響を受け作品世界に没入する「没入因子」,具体的な行動やファンダム形成に関わる「ファン行動因子」の3因子が得られた(Table 1.)。第3因子までの累積寄与率は62.26%であった。一方,アニメオタク項目では「視聴者因子」「ファン行動因子」の2因子が,キャラクターオタク項目では「ファン行動因子」「恋愛因子」「同一視因子」の3因子が得られた。
考 察 マンガオタクとアニメオタクの因子の別れ方に違いがみられた。アニメはテレビさえあれば視聴でき,PCやスマートフォンでも手軽に視聴できることが多い。しかしマンガを手に入れるには,基本的には書店やコンビニに足を運ぶ,またはウェブサイトにアクセスして購入するという行動をし,コストをかける必要性がある。よってこれらの差が表れたのではないだろうか。マンガ好きとアニメ好き(これらを兼ねることもある)を単一に「オタク」と括らず見ていく必要がある。マンガオタク因子においては,マンガを好んで読みコストを費やすこと,世界観に浸り読解し影響を受けること,さらにマンガ関係者に対してアクションを起こしファンダムを形成するなど,「マンガが好き」といってもその関わり方や度合によってオタク内での分類が可能だろう。今後は,自身をオタクだと自認するかどうかや,実際のアニメ視聴時間やマンガ読書時間と各オタク尺度得点との関連,「オタク」と「キャラクター好き」との相違などを本研究のオタク尺度を用いて検討していきたい。
参考文献小城英子(2004). ファン心理の構造 (1) ファン心理とファ
 ン行動の分類 関西大学大学院人間科学:社会学・心理学
 研究, 61, 191-205.

キーワード
Otaku/Cartoon/Animation


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