発表

2C-015

課外活動が大学生のコミュニケーション能力形成に与える影響

[責任発表者] 小幡 直弘:1
1:北星学園大学

企業が望んでいる人材において最も必要不可欠な要素として,コミュニケーション能力が掲げられている。そのため,就職活動を数年後に控える大学生にとっては,コミュニケーション能力を身につけることが必要とされ,大学においても教育理念やディプロマ・ポリシーなどに明記されることが多くなってきている。
 そのため,大学入学以前からコミュニケーション能力やリーダーシップ,積極性などを培う目的で様々な課外活動が奨励されており,この成果は大学卒業後のキャリア形成においても影響を与えるものと考えられている。
 そこで,本研究では,課外活動の頻度に注目し,それによってコミュニケーション能力の形成に違いが見られるのかを調査する。
方 法
実験参加者 講義「人間関係論」を受講している北海学園大学の学生201名(男性103名,女性98名)であった 。
手続き 講義時間内で実験参加者に質問紙を一斉配布し回答してもらった。
質問紙の構成 質問紙は,調査対象者の性別,相川・藤田(2005)のソーシャルスキル自己評定尺度6因子全35項目で構成されていた。全項目について1:全く当てはまらない~5:とても当てはまる,の5件法で回答させた。また,自身によるコミュニケーション能力の主観評価も同様に5件法で回答させた。最後に,小学校から高校までの期間に,課外活動としてスポーツ,音楽,ボランティア,グループワーク・ディスカッション,プレゼンのそれぞれの活動の頻度を5件法で回答させた。
結 果
 5つの課外活動の頻度を基準に,それぞれ高低2群に分類し,この2群に対してソーシャルスキル自己評定尺度6因子および自身のコミュニケーション能力に対する主観評価を従属変数とする多変量分散分析を実施した。
その結果,「スポーツ」については,ソーシャルスキル自己評定尺度の全体得点(F[1, 199] = 7.69, p < .01),「関係開始」(F[1, 199] = 10.05, p < .01),「解読」(F[1, 199] = 5.61, p < .05),および主観評価(F[1, 199] = 13.69, p < .001)において主効果が見られ,いずれも高群の方が低群よりも高くなっていた。
「音楽」については,いずれの項目についても経験の頻度の高低による違いは見られなかった。
「ボランティア」については,ソーシャルスキル自己評定尺度の全体得点(F[1, 199] = 5.33, p < .05),「関係開始」(F[1, 199] = 5.85, p < .05),および主観評価(F[1, 199] = 4.71, p < .05)において主効果が見られ,いずれも高群の方が低群よりも高くなっていた。
「グループワーク・ディスカッション」については,ソーシャルスキル自己評定尺度の全体得点(F[1, 199] = 16.68, p < .001),「関係開始」(F[1, 199] = 18.47, p < .001),「主張性」(F[1, 199] = 5.22, p < .05),「関係維持」(F[1, 199] = 8.23, p < .01),「記号化」(F[1, 199] = 8.69, p < .01),および主観評価(F[1, 199] = 16.25, p < .001)において主効果が見られ,いずれも高群の方が低群よりも高くなっていた。
最後に,「プレゼン」については,ソーシャルスキル自己評定尺度の全体得点(F[1, 199] = 20.25, p < .001),「関係開始」(F[1, 199] = 12.13, p < .001),「解読」(F[1, 199] = 11.24, p < .001),「主張性」(F[1, 199] = 14.68, p < .001),「記号化」(F[1, 199] = 9.32, p < .01),および主観評価(F[1, 199] = 16.69, p < .001)において主効果が見られ,いずれも高群の方が低群よりも高くなっていた。結果のうち,「プレゼン」の頻度の高低による違いを図1に示す。
考 察
本研究の結果,課外活動はコミュニケーション能力形成に影響を与えるものであると考えられる。「音楽」の経験頻度のみ明確な影響が見られなかったが,これは課外活動における音楽については個人で習っているものなども含まれるためコミュニケーション能力の形成に直接的に影響しなかったとも考えられる。
それ以外の課外活動においては,ソーシャルスキル自己評定尺度の全体得点をはじめ複数の因子で影響が見られ,コミュニケーション能力形成に影響があると言える。とりわけ,グループワーク・ディスカッション,プレゼンといったコミュニケーションが必須とも言える課外活動においては,6因子中4因子で明確な差が見られていることからも,これらの活動の実践的な機会を作ることがコミュニケーション能力を高めていく上で重要な役割を果たしていると考えられる。また,主観評価においても課外活動の影響が見られることから,課外活動を通じてコミュニケーション能力が身についたという自信にもつながっていると言える。

キーワード
コミュニケーション能力/ソーシャルスキル自己評定尺度/課外活動


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