発表

2C-011

倫理的消費における経験と態度
-居住地域からの検討-

[責任発表者] 泉水 清志:1
1:育英短期大学

目 的
 倫理的消費(エシカル消費)とは,人と社会・地球のことを考えた“倫理的に正しい”消費行動やライフスタイルのことである。多くの消費者は,社会貢献型の製品やサービスを購入したいと思っており,エシカルな活動や商品開発を行う企業に対する好感度は高く,社会をさらに良くするために行動してほしいと考えている。
 倫理的消費の意思決定プロセスは,倫理的消費の意思決定プロセスは「計画的行動理論」(Ajzen,1991)から研究されることが多く,「行動に対する態度」,「主観的規範」,「行動統制」が「意図」に影響し,この意図が「行動」に影響を与えると仮定されている。また,「有効性評価」(その行動を行うことで期待した結果が得られるのか)と「入手可能性」(実際にその行動を行うことができるのか)が行動統制の下位概念と考えられている。すなわち,消費者は倫理的な製品やサービスの購入に対するポジティブな態度,それを購入するべきであるという社会に存在する“空気”,その購入が社会的課題の解決につながるのか,自分がそれを購入することができるのかという主観的知覚によって購入しようという意図が生み出され,実際に商品を購入すると考えられる。
 倫理的消費に対する態度や行動はクラスタによって異なると考えられており,泉水(2018, 2019)は性別や年代,婚姻の有無,職業によって異なることを示している。現代の日本では,災害被害による弱者への支援形態として倫理的消費も浸透しつつあり,社会にもその行動規範が存在している。そのため,倫理的消費に対する態度や行動を消費者クラスタごとの特徴を正確に理解することは,その実践のためにも必要なことであるといえよう。本研究は,倫理的消費(寄付つき商品購入・応援消費)の経験と態度について,居住地域から検討することを目的とした。
方 法
対象者:20~69歳の男女800名(平均42.9歳)
手続き:(株)クロス・マーケティング社の協力を得て,インターネット調査を実施した。
1)寄付つき商品購入経験の測定(7段階評定)
2)寄付つき商品に対する態度15項目の測定(7段階評定)
3)応援消費経験の測定(7段階評定)
4)応援消費に対する態度15項目の測定(7段階評定)
時期:2017年10月
結 果
 表1は寄付つき商品購入・応援消費の経験と態度の評定平均を居住地域,性別でまとめたものである。10(居住地域)×2(性別)×2(倫理的消費)の分散分析を行った結果,倫理的消費の主効果に有意差がみられ(F(1,1560)=19.69, p<.001),寄付つき商品は応援消費より高いことが分かった。
 寄付つき商品への態度について,10(居住地域)×2(性別)×5(因子)の分散分析を行った結果,居住地域の主効果に有意差がみられ(F(1,3900=1.89, p<.05),下位検定の結果,中国が高いのに対し,北陸が低いことが分かった。また,因子の主効果にも有意差がみられ(F(4,3900=20.18, p<.001),主観的規範,意図と入手可能性評価,有効性評価と行動に対する態度の因子順に高いことが分かった。さらに,居住地域と性別の交互作用に有意差がみられ(F(9,3900=1.90, p<.05),南関東,北陸,東海,近畿,九州では男性が高いのに対し,東北,四国では女性が高いことが分かった。
 応援消費への態度について,10(居住地域)×2(性別)×5(因子)の分散分析を行った結果,居住地域の主効果に有意差がみられ(F(1,3900=3.16, p<.001),下位検定の結果,中国が高いのに対し,北陸が低いことが分かった。また,因子の主効果にも有意差がみられ(F(4,3900=19.69, p<.001),主観的規範,意図と入手可能性評価と有効性評価,行動に対する態度の因子順に高いことが分かった。さらに,居住地域と性別の交互作用に有意差がみられ(F(9,3900=3.42, p<.001),東北,南関東,北陸,東海,近畿,中国では男性が高いのに対し,北関東・甲信,四国では女性が高いことが分かった。
考 察
 寄付つき商品の購入は応援消費より実践しやすいため,その経験が多くなると考えられた。また,災害を頻繁に経験することで倫理的消費に対する態度がポジティブになり,その態度は倫理的消費を行うべきだという社会的規範が高まり,自分が消費する多くの機会があることを感じて意図が高まることで形成されていくと推測された。
引用文献
泉水清志(2018).倫理的消費における経験と態度-性別,年代からの検討- 日本心理学会第82回大会発表論文集
泉水清志(2019).倫理的消費における経験と態度-婚姻の有無・職業による検討- 育英短期大学研究紀要,36,15-28.

キーワード
倫理的消費/寄付つき商品/応援消費


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