発表

2C-003

子どもと同居する母親の面会交流の受け止め尺度の信頼性・妥当性の検討

[責任発表者] 直原 康光:1
[連名発表者・登壇者] 安藤 智子#:2
1:筑波大学, 2:筑波大学

問題と目的
父母が離婚して母親が子どもを引き取った母子世帯において,46.3%の世帯の母親が,父親と子どもとの面会交流を行ったことがないと回答している(厚生労働省,2017)。別居・離婚後の父母が子どもに関して協力しあい,面会交流を実現していくことは困難な課題であるとされている(小田切・青木,2017)ものの,面会交流に関して,同居親がどのように受け止めているのか,その実態は明らかでない。そこで,本研究では,子どもと同居する母親が父親と子どもの面会交流をどのように受け止めているのかを把握する尺度を作成し,信頼性・妥当性の検討を行う。
方法
調査時期 2019年4月
調査対象者 リサーチ会社の保有するパネルから,離婚時に元夫との間の子どもを引き取り,現在子ども(末子基準)が18歳未満であり,かつ離婚から9年未満であった女性に調査協力を求めた。有効回答が得られた協力者は,297名(90.27%)で,母親の年齢は, M =36.0(SD =6.4)歳,子ども(末子)の年齢は,M =7.5歳(SD =3.5)歳であった。
調査内容 (a) 子どもと同居する母親の面会交流の受け止め尺度は,90項目からなり,5件法で回答を求めた。次の作成手順によって作成した項目プールから,項目を抽出した。予備調査1において,別居・離婚して面会交流を継続して実施している同居親(女性)9名に半構造化面接を実施し,得られた語りをKJ法を参考に分析した。予備調査2において,離婚して子どもと同居している女性57名に対し,自由記述による質問紙調査を実施し,「面会交流を始める前に,お父さんとお子さんが交流することについて,どのようなことを心配あるいは期待していましたか。」,「面会交流を実施する中で心配(安心)した出来事を教えてください。」等と教示し,得られた記述を予備調査1と同様に分析して,項目プールを作成した。併存的妥当性の検証のため,(b) State-Trait Anxiety Inventory日本語版(Spielberger et al., 1970; 清水・今栄,1981)の状態不安尺度20項目,(c) 親役割満足感尺度(Cleminshaw & Guidubaldi Parent Satisfaction Scale)日本語版(Guidubaldi et al., 1985; 小坂,2004)の子育てへの関わり満足の下位尺度から10項目を抽出,(d) 共同養育への否定的意識尺度(Odagiri et al, 2017)6項目に回答を求めた。
結果と考察
因子分析結果 顕著な床又は天井効果が認められた項目を除外し,最尤法・プロマックス回転による探索的因子分析を繰り返し行なった。抽出された因子及び項目例をTable1に示す。項目数は,F1(10項目),F2(10項目),F3(4項目),F4(3項目),F5(5項目),F6(3項目)で,合計35項目であった。因子間相関は,F1とF6(r =.65),F2とF5(r=.69),F3(r=.54)で有意な正の相関が認められた。
信頼性及び妥当性 内的一貫性は,α=.75~.93で,一定の信頼性が確認できた。つぎに,(a)尺度の下位尺度得点を合算して平均値を算出し,(b)~(d)との相関係数及び偏相関係数を算出した(Table2)。以上の検討から,作成した尺度に一定の信頼性・妥当性があることが確認できた。ただし,各下位尺度に項目数のばらつきが認められたこと,有意な偏相関が認められなかった下位尺度も存在したことを踏まえ,今後は,一部項目を修正しながら,併存的妥当性尺度を追加して改めて信頼性・妥当性を確認したい。また,本尺度を用いて,どのような要因がこれらの受け止めを規定するのか,また,面会交流の実施状況等との関連を検討したい。
付記
本研究は,公益財団法人明治安田こころの健康財団の研究助成(2018年度)を受けて実施された。

キーワード
面会交流/母親/尺度


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