発表

2B-019

高校生のスマホ使用に関する要因の相互影響関係の検討

[責任発表者] 吉武 尚美:1
[連名発表者・登壇者] 伴 恵理子:2
1:順天堂大学, 2:東京都公立学校

目 的
 ネット依存は単なる行動上の問題ではなく,ネット使用を好む傾向や気分調整の機能,自己制御の問題など,認知・感情的要因の相互作用によるという仮定のもと(Davis, 2001),ネットの問題利用に関する尺度が開発され (Generalized Problematic Internet Use Scale (Caplan, 2002); Generalized Problematic Internet Use Scale 2 (Caplan, 2010)),ネットやFacebookの過剰使用にこの尺度を用いた検討が行われている (例えば,Assuncao et al., 2017; Caplan & High, 2007; Kim & Davis, 2009 )。第一著者はGPIUS2を使用し女子大学生のスマホ使用に関連する要因の検討を行った (吉武, 2018)。本研究はDavis理論の実証的検証を進めるとともに,我が国の高校生のネット使用の機器であるスマホの問題利用の研究における新たな尺度の使用可能性を検討する。

方 法
 調査手続きと対象者 2018年に都内の高校1校に通う全校生徒を対象に,春と秋の2回にわたり質問紙調査を実施した(1回目951名, 2回目944名)。
 使用尺度 GPIUS2 (Caplan, 2010) は,ネットコミュニケーションの選好度,ネット使用のデメリット,感情調節,自己調節の4つの下位尺度で構成され,自己調節にはさらに衝動的使用と認知的衝動性という下位尺度がある。各下位尺度には3個の質問項目があり,合計15項目である。回答は1(全然あてはまらない) ~ 6(非常によくあてはまる)で求めた。

結 果
スマホ使用に関する認知感情的要因の相互影響関係を検討するため,1回目と2回目のデータを用いて交差遅延効果モデルを構成し(図1を参照),モデルフィットを調べた。その結果,十分なモデルフィットが確認され,以下の交差パスが有意となった:
・感情調節→認知的強迫,衝動的使用
・認知的強迫→衝動的使用
・衝動的使用→認知的強迫,スマホ使用時間
・スマホ使用時間→感情調節

考 察
モデル検証の結果,1回目調査時の認知感情的要因は半年後の認知感情的要因と正の関連性を示した。すなわち,スマホを感情調整に使用する傾向が高い生徒は,半年後のスマホ使用に際して認知的強迫や衝動的使用傾向が高まることが示された。認知的強迫と衝動的使用の間は双方向の影響関係にあった。また,衝動的使用傾向が高いとスマホ使用時間が増えるとともに認知的強迫の度合いも強まった。さらには,スマホ使用時間が長いと感情調節のためにスマホを使用する傾向が増した。一方,対面よりもネットを介したコミュニケーションを好む傾向については,他の要因との因果関係は見出されなかった。
本研究は認知感情的要因が1つの尺度にまとめられたGPIUS2尺度を用いて,高校生のスマホ使用に関連する諸要因の相互影響関係を実証的に検討した。分析により,スマホ使用に関する感情的要因と強迫性や衝動性といった認知行動的要因が相互に密接に関連しあっていることが明らかになった。また,
使用時間の多さが気分転換目的でのスマホ使用につながり,そうした使用方法は強迫的傾向や衝動的使用を強めることが示唆されたことから,スマホの使用時間を少なくすることが問題利用を阻止する有効な介入策の1つであると考えられる。

キーワード
スマホの問題使用/高校生/交差遅延効果モデル


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