発表

2A-007

組織特性が大学生の知覚する組織の魅力に及ぼす影響(4)
大学生の達成動機、自尊心の調整効果

[責任発表者] 高木 浩人:1
[連名発表者・登壇者] 石田 正浩:2
1:愛知学院大学, 2:京都府立大学

目 的
 Schneider(1987)のASA frameworkのattraction過程については実証的な検証が試みられてきた。これまでに,個人志向的な報酬システムの組織を選んだ人の方が,組織志向的な報酬システムの組織を選んだ人よりも達成欲求が高い傾向があること(Bretzら,1989),自尊心の低さと非中心的組織への魅力および達成欲求の強さと成果主義的な報酬システムへの魅力の関連(Turbanら,1993),誠実性の高さとサイズの大きい組織への魅力,開放性の高さと国際化された組織への魅力の関連(Lievensら,2001)などが示されてきた。
 高木・石田(2016,2017,2018)では,非中心的な組織が好まれること,成果主義的な組織が好まれること,とくに自己充実的達成動機の高い人が成果主義,非中心的な組織を好むこと,開放性の高い人が副業の可-不可に対して敏感であることなどが明らかとなった。
 本研究では,高木・石田(2018)で扱った,身につけられる技能,副業の可-不可に加えて,最近の若手社員に希望が多い職種別採用を実施しているか否かを新たな組織特性としてとりあげ,組織の魅力に対する達成動機,自尊心の調整効果について検討した。
方 法
 調査対象:愛知県の大学生124名(男性61名,女性63名)を対象に質問紙への回答を求めた。
 質問紙の構成:(1)達成動機:堀野・森(1991)から自己充実的達成動機,競争的達成動機各9項目(2)自尊心:Rosenberg(1965)を山本・松井・山成(1982)が邦訳した10項目(3)組織特性:採用,技能,副業の3特性を組織紹介の文章によって操作した。文章は「私たちの会社について
紹介します」で始まり,採用は職種別採用を行っているか否か,技能は汎用的な能力が身につくか企業独自の特殊な能力
が身につくか,副業は可か不可か,を記述するものであり,
2×2×2=8種類作成した。(4)組織の魅力:「あなたはどの程度この会社に魅力を感じますか」などの4項目で尋ねた
(α=.895)。回答は5件法。
 手続き:授業時に配布後回答を求めその場で回収した。回答者は8種類の組織紹介文のうち1種類について回答した。
結 果 と 考 察
 各尺度のαは.716~.903であった。Lievensら(2001)を参考に組織の魅力を目的変数とし,step1で性別,組織特性,達成動機あるいは自尊心を説明変数に投入後,step2で組織特性の一つ×達成動機の交互作用項,あるいは組織特性の一つ×自尊心の交互作用項を説明変数に加える階層的重回帰分析を行った。
 達成動機の調整効果を示すModel1では,副業と自己充実的達成動機が有意な正の関連,技能と自己充実的達成動機の交互作用項が有意な負の関連を示した(表1)。副業可の組織に対して魅力が高かった。図1に交互作用を図示した。技能の単純主効果は自己充実的達成動機が高いときに有意で,低い時には傾向が見られた。自己充実的達成動機の強い人は企業特殊的技能に魅力を感じており,一つの企業内で力を発揮して確かな充実感を得ようとするのかもしれない。
 自尊心の調整効果を示すModel2では,副業が有意な正の関連,自尊心が有意な負の関連,副業と自尊心の交互作用項が有意な正の関連を示した(表1)。自尊心が高い人ほど組織に感じる魅力は低かった。図2に交互作用を図示した。副業の単純主効果は自尊心が高いときに有意であり,低いときには有意でなかった。自尊心の高い人の方が副業の可-不可に対して敏感であるが,副業可の場合に組織への魅力を高めるというよりは,副業不可の場合に組織への魅力を低下させていた。自尊心の高い人の,何かを禁じられることに対する否定的な反応と理解することができる。
 なお今回新たにとりあげた組織特性である,職種別採用を実施しているか否かについては,有意な結果は見られなかった。

キーワード
組織の魅力/達成動機/自尊心


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