発表

1D-018

ウェル・ビーイング活性化に関するオンライン介入の試み
(2)5種の介入による幸福感の変動

[責任発表者] 堀毛 一也:1
[連名発表者・登壇者] 堀毛 裕子:2
1:東洋大学, 2:東北学院大学

目的 本研究の目的は,一般人のウェル・ビーイング(WB)増進に関し,どのような領域で,どのような行動をおこなうことが,どのような種類のウェル・ビーイングを高めるかを明らかにすることにある(cf.Lyubomirsky,2008)。そのために,1)本邦で使用されている代表的なWB指標の整理・検討,2)整理されたWB測定領域ごとの活性化活動の整理,3)介入による活性化の検証を行う。1)については,堀毛・堀毛(2016,社心大会)で,4~6種類のWB指標が区別されることを示した。2)についてはHorike & Horike (2017, ECP)で,自由記述調査結果に基づき,各WBに対応した活性化活動の内容について整理した(以上第1回調査)。3)については,通算3日以上の介入実践者に関しては,事前・事後の比較において,幸福感得点の低い女性に介入効果が顕著にみられること(Horike &Horike,2018,ICWB),WB領域別に検討すると,全般に明確な活性化効果はみられないものの,感情的・文化的WBに関しては介入効果が一部検証されること,などが示された(以上,第2回調査)。一方で,介入実施率が3日以上に限定しても参加者の約1/3にとどまるなど,調査上の問題もみられた(Horike & Horike,2019, SPSP)。そこで,本報告では,調査の問題点の改善をふまえた第3回調査の結果について報告する。

方法 平成31年1月から2月にかけて3週間,4回にわたるweb調査を行った。a)まず予備調査では,30代から60代の男女5,000人に,現在の幸福感を10段階で尋ねるとともに,幸福感増進のための調査への協力の意思を尋ね,意思ありと回答した参加者には,第2回の調査結果から選択した感情・心理・関与・社会・文化の5種類のWB活性化活動(環境WBに関しては選択者が少なかったため除外)のうち,参加可能な活動を選択してもらい,各活動に52名(5活動×年代(20,30代と40代以降)各25名:合計520名)を割り付けた。b)プレ調査では,まず10段階で現在の幸福度を尋ねた後に,先の活性化活動5項目の現段階の重要度と実践度評定についてそれぞれ6段階で回答を求めた。ひきつづき5つのWB指標(心理的,社会的,日本文化的,活動的,感情的の順)に回答を求め(6段階評定),最後に,振り分けられた活性化活動1つを2週間にわたり実践し,就寝前に振り返りを行うよう依頼した。c)中間調査(1週間後)では,プレ調査に回答したうちの310人に,選択した項目に関する実践度(yes-no)と1日ごとの実践の振り返り(4段階評定),および幸福度に回答を求めた。d)ポスト調査では,中間調査に回答したうちの210人に,中間調査と同様の内容への回答を求めた後に,プレ調査で尋ねた5つのWB指標への回答と,調査参加の感想(自由記述)への回答を依頼した。

結果 1)予備調査による幸福度評定の結果:参加者,全体の平均値は6.13(s=2.46)で,第2回の平均値(6.02)とほぼ同一であった。「幸福感を高めたいか」という質問に
対しては4340名(86.8%)が「はい」と回答しており,幸福感増進に関心の高い参加者が集まった可能性が高い。2週間の調査への取り組み希望は「高めたい」とする参加者のうち44.2%(2211名)であった。これらの希望者について,5つの活性化行動に関する参加希望を複数回答で選択させた結果,「いろいろなことを前向きに考える(感情的:n=1772)」,「好きなことを充分楽しみ味わう(活動的:n=1711)」,「こころの平安を保つ(文化的:n=1518)」,「自分にとって重要な目標を追求する(意味的:n=1019)」,「他者と協調的関係を強める(社会的:n=737)」という順序になった。社会的な活動以外は自己完結的活動であり,その中でも,感情的・活動的な手軽な活動が好まれる傾向が明らかにみられた。こうした結果も第2回調査結果に整合していた。
2)幸福度評定の変動:3回の調査における幸福度評定の変動(調査時点)を被験者内要因,性と年代を被験者間要因とする三要因の分散分析を行った。年代の主効果および交互作用が有意にならなかったため,あらためて性別のみを要因とする二要因の分散分析を行った結果,調査時点の主効果が有意(x=6.29, 6.58, 6.46;F(2,416)=3.57, p < .029),性の主効果も有意(m=6.00,f=6.90; F(1,208)=9.34,p<.000)となり,交互作用も有意となった(F(2,416)=3.27,p<.039)。多重比較の結果,中間調査での幸福感の上昇が,男性において顕著であり,女性の平均値には,調査時点による変化はなく,高い値で安定していた。
考察 活性化介入により幸福感の上昇がみられたが,第2回調査では低得点の女性で上昇がみられたのに対し,今回の結果では男性への効果が顕著となった。サンプリングのしかたの違いが影響していると考えられるが,web介入の有効性を否定する結果ではないと判断する。今後WB領域別の分析や,介入実施程度の相違を考慮したうえで,介入活動と対応する領域のWBの上昇がみられるか検討し,考察を深めたい。
【謝辞】本研究の遂行にあたっては,科研費助成事業(基盤研究(C):課題番号16K04270,研究代表者:堀毛一也)の助成を受けた。

キーワード
ポジティブ心理学/オンライン介入/ウェル・ビーイング


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