発表

1D-015

「シェア」に対する意向に影響を与える要因(1)*

[責任発表者] 加藤 深雪:1
[連名発表者・登壇者] 竹内 秀太郎#:1, 田北 順子:1, 安川 友里子#:1
1:筑波大学

目的
近年,新しいシェアサービス(以下「シェア」)が次々に登場している。シェアは共同消費型サービスとも呼ばれ,海外に比べ国内での普及はこれからの段階にある。本研究では,実際に利用したことがなくても想像しやすいシェアの例として,本,服,住まいのシェアを取り上げ,各シェアに対する意向とイメージの関連を分析し,普及のハードルとなる心理的要因を探ることを目的とした。本発表では,服のシェアに関する意識について報告する。

方法
調査対象者:15~71歳の男女303名(男性:42%,女性:58%,20代以下:12%,30代:14%,40代:29%,50代:36%,60代以上:9%)平均年齢45.53歳(SD=11.74)。
調査時期:2018年8月6日~20日。
手続き:本,服,住まいの各シェアに対する意向とイメージ,普段の心理的傾向,基本属性などについて尋ねる104項目20問からなる質問紙を作成し,機縁法でWebおよび紙配布による質問紙調査を実施した。

結果
服のシェア(以下「服シェア」)に対する意向について,「様々な種類のスーツや普段着を月替わりで借りて着ることのできるファッションのシェアサービスを使ってみたいと思いますか」という質問に対し,5件法で回答を求めたところ,利用したいという意向をもつ人の割合は,19.7%(そう思う:8.1%,どちらかといえばそう思う:11.6%)であった。
服シェアに関する17項目のイメージについて,5件法(5:あてはまる~1:あてはまらない)で回答を求めたところ表1に示す通りの結果となった。
意向とイメージの関連を分析するために,服シェアへの意向を基準変数とし,イメージの17項目を説明変数とする重回帰分析を行った。分析は変数増加法を用い,投入された変数の偏回帰係数の有意性(5%水準)の基準で変数の増加を打ち切った。投入された変数と標準偏回帰係数を表2に示す。解析の結果,説明率は25.9%で,説明率の検定は1%水準で有意であった。服シェアへの意向に対し,正の影響を及ぼしていたのは,「服の保管スペースが少なくて済みそう」と「似合うコーディネートをしてもらえそう」,負の影響を及ぼしていたのは,「クリーニングはされていても知らない人が着たものだと思うと気持ちが悪い」と「買う楽しみがなくなる」いうイメージであった。


考察
服シェアに対して積極的意向を持つ人は,全体の約2割と少数派であった。多様なシェアの中でも服シェアは新しく馴染みが薄いことから利用に対して慎重な考えをもつ人が多いことが推察される。
肯定的イメージの中で,「保管スペースが少なくて済みそう」と「似合うコーディネートをしてもらえそう」が意向に影響を与えていたことから,積極的意向を持つ人は,持たない身軽さとお薦めアドバイスを重視する傾向があると考えられる。
他方,否定的イメージの中で,「借りたり返したりのやりとりが煩わしい」や「着たいと思ったときに着られない」など比較的多くの人が持つイメージは,必ずしも意向を左右するものではなかった。「知らない人が着たものだと思うと気持ちが悪い」の意向に与えた影響が最も大きかったため,清潔感を重視する日本人の特徴がファッションのシェアにおいて阻害要因になっていることが推察される。また「買う楽しみがなくなる」というイメージから負の影響が見られ,「所有から利用」といわれるシェアのプラス面よりもマイナス面が気になる人が多いと推定される。

*筑波大学カウンセリングコース社会調査法(担当:松井豊)のデータを発表するものである。

キーワード
シェア/共同消費型サービス


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